伸ばした手を２ (ページ32)

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No.82 ページ32

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それからしばらく話していると、Aの携帯が小さく震えた。

『あ、涼太くんから。』

渡「終わったって？」

『うん、ちょっと行ってくるね。』

もふもふのコートに腕を通しフードを被ったAは擬人化したウサギのようで

それを見た陽菜と茉莉が写メだなんだと言い出しAの足止めを始めたが、照と佐久間に抑えられてる間に垂れ耳を揺らし店から出ていった。

「「Aが居ない！」」

渡「……お前らの過保護どうにかなんないの？」

茉「みんなはAと頻繁に会ってるからそうでも無いんだろうけど、こっちはツアーだなんだって会えて無かったの！」

陽「そうだよ！ずるい！」

渡「あー、はいはい。」

めんどくせぇ。と言いながら翔太はテーブルに広げられたナゲットに手を伸ばした。

佐「阿部ちゃんより一層ウザくなるのかな。」

岩「聞いても無いのにAがああでこうでって？」

うわぁ…と嫌そうだけど、どこか嬉しそうに楽しそうに照たちは笑った。

陽「でも、それでAが笑っていられるなら、甘んじてその苦行を受けようよ。」

たしかにAの受けた苦しみに比べたらお易い御用だ。

今頃夜道を阿部ちゃんに向かって一人で歩いているであろうAの姿を思い浮かべた。

頑張れA。
お前は絶対に幸せになるべきなんだから。

そしてその隣に居るのは阿部ちゃんなんだよ。