僕の大事な大事な宝物 4【Masaki.A】 (ページ45)

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Side Sho

休日でいつもより多い人の波をひょいひょい抜かして

Aがいるはずの場所に着いた。

どこかな～。今日何着てるか聞いとけばよかったなぁ～

…と、思ってたら。

目に入ったのは、背の高い男に話しかけられてるA。

…は？

…なに手握られちゃってんの？

なに？あいつ。外国人？ナンパ？

は？は？？

昨日のモヤモヤに似た嫌な感情がむくむくと再起する。

.

翔「やめてもらえますか」

近付いて行ってその男に声を掛けて掴まれていた手を無理やり引き裂いたら、「彼氏？なんだ。ばいばい。またいつか」とかなんとか英語で言って離れて行った。

Aはポカンとしたまま俺を見上げる。

…わかってんのかな？

今の、危なかったって。

翔「…なにしてんの？」

「え？」

翔「なにしてたの、あの人と」

「なに、って…なんか話しかけられて…」

翔「なんて？」

「ひとり？って…」

翔「それでなんで手繋いでたの？」

「繋いでたんじゃないよ勝手に握られたの」

翔「なんで逃げないの」

「え…だってそんな乱暴されたわけじゃないし…」

あぁ…もう。

「ちゃんと言ったよ、待ち合わせしてるって」

翔「そういう問題じゃないでしょ。一歩間違えたら何されるかわかんねぇよ？連れてかれてなんかされたらどうすんの？」

「だって…」

翔「油断しすぎ」

わかってないんだよ。

自覚が無いの、Aは。

自分がどんだけ魅力的か。

…そんな、さ。

淡いブルーのフワフワなニットから指先だけ出して

白いスカートから出た真っすぐな膝下とか、ちょっとしたヒールの靴とか、ふんわりした髪とか。

全部が全部、Aの可愛さを何百パーセント増にもしちゃう材料でしかないのに。

世の中の男が放っておくわけないんだから。

.

翔「お願いだからハラハラさせないで」

「…そんなに、言わなくても…」

翔「ほら、行くよ」

俯いてむぅっと唇を結ぶAの指を絡ませて手を引いたら、素直について来る。

でも、いつもみたいに俺の横にぴったりくっつきはしないし

「あのねあのね」っていう声も聞こえない…のは、当たり前か。

.

早足で駅中の人混みを抜けて、少し歩いたところの路地を速度を緩めて歩く。

相変わらずAは俺の1歩後ろをトボトボ歩く。

いつもと同じなのは、絡められた指先の温度だけ。