178...Side Sho ページ44
Side Sho
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「それでね、いっちゃんがね…」
「いっちゃん用に可愛いぬいぐるみ見つけて…」
「いっちゃんが歩くようになったら…」
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最近、Aの口からは一華ちゃんのことしか出てこない。
いや、いいんだよ？
だって、めちゃくちゃ可愛いし。
雅紀と祐奈ちゃんの娘だもん、可愛くないわけない。
俺だってメロメロだよ？
無駄にベビー用品のサイト見てニヤけちゃって、たまにポチッとしちゃったりして…
抱っこしたら離したくないし。
でも…でもさ…
ほら。今だって。
仕事を終えて、バイト先に迎えに行った車での帰り道。
助手席で嬉しそうにずーっと一華ちゃんの話をしてる俺の彼女。
いっちゃんがね、あーでこーで、可愛くて…って。
うんうんって話は聞くものの。
俺に言わせりゃ…
可愛いのはAの方だよ？
…って、思うわけです…。
.
「ほら、見て。」
翔「ん？」
信号待ちの時に見せられたAのスマホの待ち受け。
「最高に可愛いでしょ」
翔「…だね」
「開く度に癒される〜」
ニコニコしながらスマホの画面を暗くしたり開いたり。
…あれ？
ずーっと、二人で夢の国に行った時のツーショットだったのにな…
なんか…
面白くねー。
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青になった信号に、ブレーキを緩めてアクセルを踏む。
順調に進む道を見据えながら、モヤモヤっとしてしまう自分。
翔「明日は？バイト？」
「ないよ〜。明日はゆっくりする日」
フフンって鼻歌でも出てきそうなご機嫌な声にすらモヤモヤ。
わかってるよ。
大人げないよな。
12歳も年下の彼女の、4か月の姪っ子への溺愛ぶりに…
嫉妬するなんて。
.
翔「…明日午前診療だからさぁ」
「ん？」
翔「終わったら」
「うん」
翔「二人でどっか行こうか」
まぁ、でも…
左から聞こえる「ほんと？！」って声が、さっきよりもっとご機嫌で嬉しそうなんで…
とりあえずはモヤモヤはどっかに置いておこうか。
・・・・・
やべ。
遅れる。
最後の患者さんを見送って軽くカルテ整理してたらもうここを出る時間を過ぎていた。
急いで駅に向かいながらAに「今出たよ」ってLINEをしたら、「正面改札出たとこにいるね」って。
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年9月28日 3時
