物理講義室の恋 ( yb×in )

18. 彼との違い ページ18

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体育の授業で転んだ。

大ちゃんとふざけていたら足を滑らせて腕を擦りむいてしまった。



たいした傷ではなかったけど、血が出ていたから絆創膏をもらいに保健室に行った。






「そういえば光、この前の合コンの子どうなったの」



白いドアに手を掛けると同時に聞こえた、大好きな彼の声。

思わず息を潜めて、ドアの取っ手を握り締めた。





「あー、1回飯行ったけど。それっきり」


「ふーん」


「薮こそどうなの」


「俺？」


「こないだ飲み会で迫られてたじゃん。あの女の子」





取っ手を握る力が強くなる。


薮の前の彼女の話は光先生に聞いたりしていたけど、飲み会や合コンの話は一切聞かない。



やっぱり行くんだな、‥‥男、だもんな。






「連絡は来るけど...あんまり返してない」


「へぇ〜」


「何だよ」


「いのちゃん？」





どくん。


え、なに。なんでここで俺の名前？
予想もしていなかったワードに、心臓が大きく跳ねる。






「どういう意味」


「いや、いのちゃんが関係してるのかな〜なんて」





やめてよ、光先生。

もうそれ以上、何も言わないで。








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「あいつは、ただの生徒だよ」





足が竦んで、動けない。


取っ手を持ったまま、固まってしまっていた。







そろそろ戻るわ、じゃあな。と、彼の足音が近づいてきて、あ、と思ったときにはもう遅かった。






「‥‥‥伊野尾」





ばっちりと目が合ってしまって、慌てて視線を逸らせた。

彼の口から何を言われるのかわからなくて、怖かった。







薮にとって俺は、ただの生徒で。

彼はもっと、可愛くてふわふわした女の子が好きで。






なのに、なんで。


なんでそんな、切なくて悲しそうな顔するの。







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