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「元気だなぁ.....、」
花壇の淵に座って、楽しそうにグラウンドを駆け回る大ちゃんたちを見ると思わずぽつりと独り言が漏れる。
そんなふうに練習を見ていると、裕翔と目が合った。
一瞬目を見開いて驚くと、こっちへ走ってくる。
「おつかれ〜、ゆうと」
「伊野尾先輩、なにしてるんですか?」
「大ちゃん待ってんだけど、暇だから来ちゃった。練習抜けてきていいの?」
俺の言葉にみんな気にしてないんで、と笑って返す。
ほんと、ドリンクを飲む姿もイケメンだよなぁ。
裕翔とふたりで練習を見ていても、どうしても部員達の中に交じって揺れる明るい髪ばかりを目で追ってしまう。
太陽に照らされる金に近い茶髪と、流れる汗が眩しい。
「かっこいいですよね、薮先生」
「うん......ほぇっ!?」
「はは、伊野尾先輩、焦りすぎ。」
こ、こいつ、後輩のくせにバカにしやがって......!!
爽やかすぎる笑顔が腹立つ。
「すきなんでしょ?先生のこと」
「・・・」
光先生といい裕翔といい、俺ってそんなにわかりやすいの?
それともふたりが鋭いだけ?
「無言は肯定、ですよ。先輩」
「うるせえ馬鹿」
「告白とか、したらいいのに。しないんですか?」
告白。
「‥‥しない」
「なんで?」
そんなの、できるわけない。
「だって」
だって、彼は人気者だし、モテるし。
きっと彼にとって俺は、ちょっと仲のいい生徒くらいの存在でしかない。
それに、もし告白して、フラれたら?
気持ち悪いって言われたら、どうしよう。
優しい彼にそんなことあるはずないのはわかっていたけど、臆病な俺は、怖かった。
「俺は好きなものはなんでも手に入れたい主義だからわかりませんけど」
この隣の後輩は、爽やかな顔してサラッと腹黒いことを言う。
彼に好きな人はいないのか聞こうと口を開いたところで、恐らく試合終了の笛が鳴り響く。
じゃあそろそろ戻りますね、と言い残してグラウンドへ走る裕翔と入れ違いにこちらへ歩いてくるのは、俺の好きな人。
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りこ(プロフ) - 裕伊さん» 裕伊さん、お返事遅くなってごめんなさい〜!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)裕伊さんのコメント本当に嬉しくて天に昇れそうです...。初夜も書くかどうかすごく迷ったのでそう言って頂けると嬉しい限りです(T_T)本当にありがとうございました!! (2017年9月16日 21時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
裕伊(プロフ) - りこさん〜〜!(;;)このふたりが好きすぎて、また読めて幸せですありがとうございます…!!相変わらずぴゅあな伊野尾くんがかわいくてかわいくて悶えました…あとはやぶ先生の理性によくがんばった!って褒めてあげたいです…(誰)幸せ初夜までごちそうさまでした!笑 (2017年8月18日 5時) (レス) id: 9c3cb87535 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 侑葉さん» 侑葉さん、ありがとうございます!ひたすらピュア恋愛をイメージして書いたのでそう言っていただけて嬉しいです(^^)胸きゅんもして頂いて嬉しいです〜!また番外編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
侑葉(プロフ) - 今日見つけて一気に読んじゃいました 笑笑 薮ちゃんの大人な雰囲気と伊野尾ちゃんのピュアさがマッチしてとても面白かったです!伊野尾ちゃんと一緒に胸きゅんしちゃいました (2017年7月2日 12時) (レス) id: e04bce508f (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - あささん» あささん、ありがとうございます〜!そう言っていただけて本当に嬉しいです...!!ピュアなやぶいの自分で書いても可愛いな〜と思ってしまいました(笑)またアップすると思うのでよろしくお願いします〜! (2017年6月26日 20時) (レス) id: 17e05a7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りこ | 作成日時:2016年5月25日 16時