物理講義室の恋 ( yb×in )

1. はじまりの冬 ページ1

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1年生の冬、放課後。



今日は、大ちゃんがこの前寝坊したお詫びに駅前のファミレスでなんでも奢る！って言うから、サッカー部の練習が終わるのを待っていた。





時刻は16時。
サッカー部の練習が終わるのは17時半。


1時間半もの暇を持て余した俺は、時間を潰そうと教室を出た。





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校舎を出て、周りをキョロキョロしながら壁沿いを歩く。


確かこの辺だったと思うんだけどな…。





この間、3階の窓からボーッと下を見てたら、猫らしき影が見えた。その後も度々見かけたから、絶対いるはず。




「ねこ、猫ちゃん〜...あ！」



いた。
校舎の壁に体を預けて、丸まってる。真っ黒の物体。そっと近づくと、耳をぴくぴくさせて起きた。





‥か、かわいい‥‥！めちゃくちゃ撫でたい‥‥！！




あんまり驚かせると逃げちゃうから、がっつきたい衝動を抑えて、猫ちゃんの隣に少しスペースを空けて座る。





「よしよし...。こっちおいで、猫ちゃん」


優しく撫でて膝をポンポン叩いて呼ぶと、気持ち良さそうに目を閉じて擦り寄ってきた。そしてそのまま、俺の膝の上。






「ふふ、かわいー‥。あったかい‥。」


快晴の今日、北校舎の裏はよく陽が当たって、心地いい。冬とは思えないくらい。





膝の上で大きく伸びをした猫ちゃんは、俺の胸に手をついて顔をペロペロと舐めてきた。




「わ、くすぐった...、ふふ、」



喉をナデナデしてあげると、綺麗なヘーゼルの瞳と目が合う。





「名前‥、誰かにつけてもらったり、したかな」


つけてもらってないんだったら、俺がつけちゃってもいいかな。





「うーん‥。女の子、だよね...タマ、モモ、.....」


でも誰にでも覚えてもらって呼びやすい名前の方がいいかもしれない。俺んちはマンションだから無理だけど、いつか誰かが飼ってくれるかもしれないし。




「クロ、とか....」


「そいつの名前、クロだよ」


「へ！！？っわ！！い、た、」



突然頭上から降ってきた声に驚いて思わず立ち上がってしまって、少し飛び出した窓枠に俺は思い切り頭をぶつけた。






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