4.頑張れ、頑張れ ページ5
雅貴「広斗、今日機嫌良いね」広斗「…は？」
その日の夕食時。目の前でにっこり笑った雅貴が呟く。
雅貴「いいことあった？」広斗「ねぇよ、つーかむしろ最悪」
Aのことを思い出し、なんとなく腹立たしく顔をしかめる広斗。
広斗「…でも、嫌いだってハッキリ言われたの、初めてだ」雅貴「は？」
広斗がボソリと呟いた言葉に、雅貴は目を丸くする。
(珍しい……広斗が笑ってる…)
雅貴「ちょ、詳しく教えて！えっ、広斗を笑顔にした相手誰！？気になるっ」広斗「やぁだ」
べっと舌を出して、広斗は席を立つ。
広斗「ごちそーさま」雅貴「えっ、待って広斗！お兄ちゃんの言うこと聞いて！！」
まだまだ食べ終わりそうにない雅貴を置いて、広斗は振り返りもせずに部屋に向かう。
雅貴「っ〜、気になる〜っ」
(滅多に笑いもしない広斗を笑顔にした相手って、どんな人なんだろ…)
と、急に電話がけたたましい音を立て、雅貴は食事を一時中断して受話器を取った。
雅貴「はい、雨宮です」
受話器の奥で聞こえたのは、雨宮家には無縁そうな少女の声。
「夜分遅くに申し訳ありません。雨宮広斗くんと同じクラスの飛鳥と言います。委員会の件で連絡があるのですが、広斗くんはいらっしゃいますか？」
(えっ、えっ、女の子？広斗が？)
あまりの驚きに慌ててしまい、雅貴は対応に少し遅れてしまう。
雅貴「あ、ちょっと待って…」
広斗！と部屋に呼びかけて、女の子が！委員会って！と叫べば、少しして部屋のドアが開く。
広斗「……受話器貸せ」雅貴「あ、うん。てか、女の子…」広斗「うるせー…」
雅貴を遮り広斗は受話器を握る。なぜかいつもより緊張していた。
広斗「…何」A「あ、雨宮？なんであんたラインやってないのよ…」広斗「面倒だから」A「あっそ。で、委員会で連絡来たんだけど」
淡々と話が進むのに、少しだけ焦る。
(なんで、こんな話してんだろ)
A「…で、終わりだから。じゃね」広斗「…あぁ」
(名残惜しい？)
(…わかんね)
雅貴「ひーろーとっ！彼女？彼女？」広斗「んなわけねぇだろ。つーか関係ねぇし」雅貴「えーっ！絶対気になってるでしょおー！」
(だって、電話してるとき、めっちゃ百面相してたしね)
(今はそれでいいよ)
(広斗が他人に興味を持ったってことが、お兄ちゃんは嬉しいから)
雅貴「頑張れ、広斗」
ボソリと呟いた言葉は、広斗の耳には届かなかった。
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しずね(プロフ) - 優花さん» コメントありがとうございます！返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 頑張ります、よろしくお願いします^_^ (2016年10月18日 20時) (
レス) id: b7c9368b76 (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - 広斗大好きです！続きが気になります！更新頑張ってください！ (2016年10月11日 17時) (レス) id: 4d4b4f8455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しずね | 作成日時：2016年10月10日 16時
