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6話 清華の過去 ページ35

中堂side



貴「はぁ…、個室でよかったわ。」

中「…。」


清華はテーブルの端にある、水を入れて飲み始めた。


貴「長かったなぁ、赤い金魚の旅。」

中「そうだな…。」



そう言うと、店員に声をかけ
頼み始めた。
俺もそれに続いて頼む。




貴「そう言えばさ、中堂さんは
有希子さんのどこを愛しとったん?」


頼み終わったあとそんなことを聞かれ
俺もそれに答える。


中「引っ張ってくれて、明るかった。
まるで、綺麗な花のようにな。」

貴「いいねぇ。」

中「お前は、大切な人とかはいるのか?」

貴「そうやなぁ、正確に言えば«居た»やけど。」


俺も、水を一口飲んでその言葉に対して質問をする。


中「どういうことだ。」

貴「昔ね、私が20の頃の話なんやけど
翔太郎さんっていう人がいたんよ。
その人は優しくて、面白くて非の打ち所のない男性だった。
婚約までしてたんだけどね。」


中「あぁ。」



貴「お腹の子と同じ日に、亡くなったの──。」


清華は自分のお腹を撫でてそう答える。


中「…なんでだ。」



貴「それが、分からないんだわ。
お腹の子もそんなに大きくなかったんだけど、流産でね。」



中「悲しくなかったのか。」



貴「それはもう、絶望してたわよ。
それまで、健康体質だったんだけどね、タバコも吸うようになって。」




体もボロボロと、笑いながら言う。




貴「でも、確かに私は今ここに法医学者として戦っているの。
それは私のお腹の子と翔太郎さんがいたからだと思うわ。」

中「そうか。」




話終わったあと、いいタイミングで
料理が届いた。


俺はその料理に手をつける。



貴「美味しいでしょ。」

中「…そうだな。」



俺は、こいつの体の中に赤子が居た事も想像できないし、こんな性格で婚約者がいたことも考えられなかった。


中「その性格で、よく婚約者が出来たな。」

貴「前はもっとかわいい性格だったわよ。
それだったら中堂さんもでしょ。」


そう言うと、俺達は2人で
馬鹿みたいだなと、笑いあった。



その日の飯は、酷く美味しく感じれた。

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(プロフ) - 明里香さん» すみません!ありがとうございます! (2019年1月7日 18時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「久辺部」ではなく、「久部」です。 (2019年1月7日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月23日 17時

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