はい、あーん！ごちそうさまでした！⬜︎⬜︎編【忍たま】 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:5,334 hit

⬜︎6 ページ7

伊作の手当て後、狼煙のおかげあってかぞろぞろと他の忍たまや探し回っていた教師たちが集まってきた。

「見つけるのが遅いんですよ」
「バカタレお前の失態だろうが」

恐らく沢山の木々を掻き分けて来たのだろう、頭に枝や葉が刺さっている潮江に頭を突かれながら、Aは沢山の人たちに囲まれている。
「何みっともない格好してるんですか」だなんてAが言えば、「なんだと！！！！！」と潮江の怒鳴り声が静かな森へと広がった。

特に目立った怪我もなく、特別今後に影響しそうな感じではない。
過剰に伊作だけが心配しているのだが、それ以外は問題はなさそうであり、皆が安堵のため息を溢しながら胸を撫で下ろしたのだった。

「……？？」

「……」

ただ二人を除いて。

・

「A先輩こんにちは！食事を持ってきましたよ！今日は筑前煮とおにぎりです！」
「あら素敵〜。守一郎、はいあーん」
「あーん！！！……あ」

医務室で足の治療に勤しんでいるA。
そんなAに浜がお昼ご飯を持ってきていた。
自信満々にAに差し出した浜であったが、Aに差し出された筑前煮をまんまと食べてしまう。

そりゃしょうがない、だってA先輩があーんしてくれたんだもん。
しかも俺の名前を呼びながら。食べるしかないじゃんか！

Aの思う壺であるということはわかっているものの、差し出されるたびに嬉しそうに箸先に摘まれている筑前煮をパクリと食べる浜。
しばらくそれを繰り返していれば当然のように筑前煮が入っていた皿は殻になり、Aはそれを確認するとぱちりと箸を置いた。

「っぐう……先輩に食べて頂きたかったのに……！」
「あらそ、美味しかった？」
「お゛い゛し゛か゛っ゛た゛で゛す゛！」
「なに馬鹿正直に言ってんの、筋金入りの大馬鹿ねえ」

うぐぐ、と悔しそう唸る浜をよそにAは残ったおにぎりを食べ出す。
そんな時、浜は咄嗟に何かを感じ取ったようでAに「少し失礼します」と言うと近づき、耳元で話し始めた。

「あの……いますよね？」
「私がわかんない訳ないでしょ」
「……一体なんの用が。あのままでいいんですか？」
「あんたみたいな能無しが無駄なことに知能使うもんじゃないわよ、ほっときな」

「わっかりましたあ！！！！！」「うるっさい耳元で騒ぐんじゃねえよ！！！！！」

そう、浜が気がつくほどの気配を垂れ流しながら、何者かが医務室の前にいるのだ。
それはもうそわそわと身を捩らせながら。