はい、あーん！ごちそうさまでした！⬜︎⬜︎編【忍たま】 (ページ4)

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互いに向き合うように座る中、Aは久々知の前で黙々とおにぎりを頬張る。
頬を膨らませて無我夢中で食べている姿を見て、久々知はふと尾浜の言っていたことを思い出した。

「Aちゃんはおにぎり食べてる時、小動物みたいで可愛いんだよ〜。」
「こう……栗鼠みたいにぷくうーってさー」

‥‥確かに、そう見えなくもない。
そう思い完結しようとした途端、頭をぶるぶると振るい邪念を振り払う久々知。
いやいやいや！こいつが可愛いなんてんなわけ！と、自身の熱くなった頬を誤魔化すように慌てて視線を下に向けた。
そんな様子を、Aは不服そうに見つめている。

すると、何を思ったのか……Aは残りのおにぎりを口に放り込めば、空になった手を久々知の方へと向けた。
突然視界に現れた手に久々知は驚いて飛び上がり、「ぎゃ！？」と声をあげる。
そんな久々知にAは例に漏れず、「うるさ」と憎まれ口を叩くと、その後少しの間を置いて、言葉を詰まらせるように言った。

「……しょ」
「え、な、なに？」
「……寄越しなさい、よ」
「何を」

「〜！！！！！豆腐よ豆腐！！！！！どうせ持ってるんでしょ！！！！！ちゃっちゃと寄越しなさいよ！！！！！」
「は！？何故！？」
「気に入らないからに決まってるでしょ！！！！！」

足を痛めているんだからむやみやたらに動くものではない、と注意してもAは聞く耳すら持たない。
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てたAはそのまま久々知に飛びつくと、懐に手を突っ込んだ。

「ちょ！？！！？」
「豆腐小僧のくせに米を差し出してくるなんて生意気なのよ！意地でも食ってやる！」

自身のではない手が懐の中でうごめき、一心不乱に豆腐を探している。
まあこの男、忍術学園の豆腐小僧こと久々知兵助は当然豆腐を携帯しているので、懐には当然高野豆腐が入っているのだが……何故か今すぐ手を引っ込めてほしくて仕方がなかった。
恥ずかしさやら何やらで思考が渦巻き、考えがまとまらない中久々知は慌ててAの手をなんとか引き離そうとする。

すると、

「きゃ」「うわ！？」

足を滑らせ、久々知とAはどさっと音を立てて地面に倒れ込んでしまった。
体勢としてはこうだ。
久々知は地面に背を付くように仰向けに、Aは久々知に押し倒すようにうつ伏せに。

……この体勢は非常にまずい！

久々知は、より一層顔の熱が増していく感覚がした。