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104 →感謝なさい ページ10

「ど、どういうことよ!」
「あら、あんたまさか忘れたわけ?学園長先生の言っていたこと。」

こはるは「なによ!」と金切り声で怒鳴る。
そんなこはるに「煩い」と胸を押しつけるように上から押してやれば、苦しそうな声を上げながらもこはるは黙った。
Aは黙ったこはるを見るなり、その場にいた全員に言い聞かせるように透き通った声をあげる。


「当てが付くまで忍術学園にいるか。住む所がないという。このまま追い出すのもなあ」
「裏を返せば当てさえつけばあんたはここから追い出せるのよ、その点は学園長先生に確認済み」


伊作は思い出す、食堂で言っていた「学園長先生のところにも行ったらしい」という台詞。
そういうことだったのか、と思うと、伊作は慌ててAへと駆け寄った。
流石に見てられないよ!痛そうじゃないか、と善意全開だったが、Aは避ける気など毛頭にない。

「あんたに職を斡旋してあげる。感謝なさい、皆が羨む高嶺屋、潰れるなんてこと絶対無いし、おまけに寮付き。努力が報われる昇給制よ。」
「……っぐ、ッ!」
「あらごめんなさい、息ができないわね」

押しつけていた力を少し緩めてやれば、こはるは求めていた酸素を勢いよく吸い込み、むせ返る。
苦しいからなのか、動けずにいるこはるの首根っこを掴むと、Aは自身の父のすぐ後ろにいる男性たちに手渡した。
「ちょ、やめ」と苦しそうに声を漏らすこはるに、Aはにんまりと笑顔を向ける。

「高嶺屋は肉体労働が多いわよ、頑張ってね!さ・と・う・さん♡」

これまでの仕返しだ、と言わんばかりに微笑むと、そのまま男性たちは「ではお嬢、失礼しやす!」「お達者で!」とAに頭を下げて医務室を去ったのだった。





静まり返る医務室。
真っ先に我に帰った伊作は、Aの肩を掴んで声をあげた。


「戻ってくるって信じてたけど、ちゃんと置き手紙に要点を書かなきゃダメじゃないか!皆心配してたんだよ!?」
「書いてたでしょ、探さなくていいって」
「そういうことじゃないんだけどなあ!?」

「高嶺先輩ー!」 「帰ってきてよかったです〜!」
「ぐお」


伊作に続き、乱太郎と伏木蔵、数馬や左近までもがAに飛びつく。
「重い、離せ」と言ってみるも、皆離す様子は全くなかった。
そんな時、

「うおっほん」

と、聞こえるようにしたであろう咳が医務室をこだまする。
保健委員達がそちらをみると、Aのお父さんがそこには立っていた。

そうだよ忘れてた

105 恋仲って!?→←103 →仕返し♡



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設定タグ:忍たま乱太郎 , RKRN , 忍たま   
作品ジャンル:アニメ
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Lynn - タジロさん» Lynnです。今見ました、戸部様を出してくれてありがとうございます!内容的には面白かったですし、これからもこのシリーズ、続いて欲しいと思ってます (8月31日 15時) (レス) @page45 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - タジロさん» はじめまして!初コメントがこんなのですいません…作品は愛読しています!新野先生だったんですね…医学の心得があるからでしょうか?これからも応援しています! (8月19日 23時) (レス) id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - めろんぱんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!ですね。高嶺の言っている通り房中術は授業で一度限りですが終えております。お相手は高嶺ちゃん資料集に書きまとめましたので顔ありの夢主が地雷でなければ是非ご覧ください……! (8月19日 23時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 主人公ちゃんは房中術をやったことがあるんですか…? (8月19日 23時) (レス) @page41 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - タジロさん» タジロさん、仕事の方も更新の方も体に気をつけて頑張って下さい。昨日はなんか申し訳なかったです。 (8月6日 16時) (レス) id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タジロ | 作成日時:2023年5月10日 2時

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