103 →仕返し♡ ページ9
風のように颯爽と現れたAを見るなり、その場にいた保健委員たちは皆ぎょっと目を見開いて驚いている。
だが、驚かれている本人のAは、受け止めていたこはるの手を雑に払い退けると心底嫌そうな顔をしながらこはるを睨んでいた。
「あんたもしかして風呂入ってないの?ベタベタするんだけど、なんか変な匂いもするし」
「っな!これは香水よ!こうすい!」
「ははは!じゃあ物の限度ってのを知らないだけなのね!そんなベタベタするほどつけるなんて馬鹿のすることよ!」
もう自棄であった。
こはるはそAの挑発的な台詞に乗り、バッ!と拳を振り上げ殴りかかろうとする。
当然そんな素人の付け焼き刃がAに傷をつけるなんて不可能である、Aは軽やかにそれを躱すと、そのまま腕を掴んで軽く捻り、こはるをうつ伏せに地面に押しつけた。
「ぎゃ」と女性らしからぬ声を漏らし、腕を抑えられたままこはるはAに押し潰されている。
Aはと言うと、それはもうあくどい顔をして地面に伏せるこはるの背中に乗っかっていた。
「怒車の術、まんまとかかったわね単細胞♡」
忍たまたちに媚びを売っていた時の顔を再現してやったぞ、とでも言わんばかりにAは頬を染め、こはるへと視線を向ける。
言葉の最後を少しばかり高くしてやれば、それはもう媚を売っていた時のこはるの喋り方そのものであり、小馬鹿にしているのは一眼見てわかった。
「ふざけんじゃないわよ!退けなさい!一発ぶん殴ってやる!」
こはるはなんとかAを退かそうと暴れるが、その努力は虚しく体力を消耗するだけ。
しばらくそんなこはるを見つめていると、医務室の廊下がバタバタと賑やかになってきた。
足音を聞くに複数人が落ち着いた足取りで近づいてきているようで、首を傾げている伏木蔵と乱太郎。
そんな二人に、「ちょっとそこ開けて頂戴」とAが言うと、二人は元気よく返事をしてその襖を開けた。
……そこには、なにやら高級そうな小袖を着た複数人の男性が。
先頭に立つ男性は、顔がそれはもう凛々しく、どこかで見覚えのある目つきをしていた。
「……A、そいつが例のやつか」 「ええ父上!件の放浪者ですわ!」
保健委員たちが皆思った。
あ、この人高嶺Aのお父さんなのか、と。
同時に思った、件の放浪者とは?と。
207人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lynn - タジロさん» Lynnです。今見ました、戸部様を出してくれてありがとうございます!内容的には面白かったですし、これからもこのシリーズ、続いて欲しいと思ってます (8月31日 15時) (レス) @page45 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - タジロさん» はじめまして!初コメントがこんなのですいません…作品は愛読しています!新野先生だったんですね…医学の心得があるからでしょうか?これからも応援しています! (8月19日 23時) (レス) id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - めろんぱんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!ですね。高嶺の言っている通り房中術は授業で一度限りですが終えております。お相手は高嶺ちゃん資料集に書きまとめましたので顔ありの夢主が地雷でなければ是非ご覧ください……! (8月19日 23時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 主人公ちゃんは房中術をやったことがあるんですか…? (8月19日 23時) (レス) @page41 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - タジロさん» タジロさん、仕事の方も更新の方も体に気をつけて頑張って下さい。昨日はなんか申し訳なかったです。 (8月6日 16時) (レス) id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:タジロ | 作成日時:2023年5月10日 2時