検索窓
今日:16 hit、昨日:35 hit、合計:38,383 hit

126 一握りの希望を求めて ページ32

「まだだ、希望を捨てるな……!」
「八左ヱ門吐血してる……」
「」
「勘右衛門に関しては息してない」


もしかしたらAは自分達の存在に気が付いており、あれは咄嗟についた嘘なのでは?と竹谷は思った。
というわけでそんな一握りの希望を求め続け、庄左ヱ門の言っていた「今晩」という言葉を頼りに、夜庄左ヱ門と伊助の部屋の側に潜む。
すると、寝巻き姿の庄左ヱ門が部屋の襖をからりと開き、中にいるであろう伊助と話をしていた。

「じゃあね伊助、いってくる」
「うん、楽しんできてね〜」
「うん!!!!!」 「庄ちゃんしー……」 「あっ」

夜分ということもあり、昼間のように大きな声をあげてしまった庄左ヱ門は咄嗟に自身の口を手で塞ぐ。
その後、そっと口を塞いでいた手を離すと、何かを包んでいるであろう風呂敷を片手に、庄左ヱ門は伊助にゆらゆらと手を振り、襖を閉めたのだった。


イキイキと歩みを進める庄左ヱ門が向かっている場所は、食堂であった。
正確にいうならば、食堂の前の廊下……だが。
そこには待っていたであろうAが壁に寄りかかり、腕を組んで立っている。
風呂上がりなのだろう、頬が赤く染まり、何処か色気に溢れるAに、竹谷と久々知、尾浜は息を呑んだ。

歩いてくる庄左ヱ門に気がついたのか、そちらを向いて微笑み、パッと手のひらをあげる。
流石に二度も騒ぎはしないのだろう、庄左ヱ門はパア!と明るく微笑むと、パタパタと小走りでAの元へと向かい、過去一の会釈をした。


「走ってんじゃないわよ馬鹿、寝腐ってる奴らが起きちゃうでしょ」
「大丈夫です!忍び走りで来たので!」
「とりあえず静かになさい、足音よりもおまえの声の方がうるさいわ」


「はあ」と困ったように溜息をつくと、Aはそのまま庄左ヱ門の手をひいて歩み始める。
本当に、小さな一握りの希望を求めてつけていたわけだが、その希望も虚しく空を掴み……
Aと庄左ヱ門の二人はそのまま忍たま厳禁であるくのたま長屋へと続く廊下を進んでいったのだった。

「これはゆめかな」 「八左ヱ門、現実だよ。」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!」 「勘右衛門うるさいのだ!」





「え!?一体何が……」 「気にしないの、ほらさっさと行く。勉強教えてあげないわよ」

Aの部屋へと進む二人の耳には、当然勘右衛門の叫び声は聞こえていた。
作戦成功だ、Aはぷくくと笑いそうになりながらも、庄左ヱ門の背中を押すと、自室へと入っていった。

127 堪えろまだまだこれからだ→←125 庄ちゃん!?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (104 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
207人がお気に入り
設定タグ:忍たま乱太郎 , RKRN , 忍たま   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Lynn - タジロさん» Lynnです。今見ました、戸部様を出してくれてありがとうございます!内容的には面白かったですし、これからもこのシリーズ、続いて欲しいと思ってます (8月31日 15時) (レス) @page45 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - タジロさん» はじめまして!初コメントがこんなのですいません…作品は愛読しています!新野先生だったんですね…医学の心得があるからでしょうか?これからも応援しています! (8月19日 23時) (レス) id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - めろんぱんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!ですね。高嶺の言っている通り房中術は授業で一度限りですが終えております。お相手は高嶺ちゃん資料集に書きまとめましたので顔ありの夢主が地雷でなければ是非ご覧ください……! (8月19日 23時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 主人公ちゃんは房中術をやったことがあるんですか…? (8月19日 23時) (レス) @page41 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - タジロさん» タジロさん、仕事の方も更新の方も体に気をつけて頑張って下さい。昨日はなんか申し訳なかったです。 (8月6日 16時) (レス) id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:タジロ | 作成日時:2023年5月10日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。