新たな仲間 ページ45
「いや、自分の限界とか分かんないんスか、アンタ」
「うるさい……」
あのあと、なんとかアレを突破できた私達は、近くの公園で傷の簡易的な治療をしていた。
といっても晋助のケガは手に負えないので男子陣が病院に連れて行った。
雨はいつの間にか止んでいて日も落ちてしまっている。
「限界たって、ちょっと顔に怪我しただけだろ」
「その怪我が顔にあるから言ってんじゃないスか」
「あーもーうるさい。早く消毒終わらせて」
「かわいげ無いっスねェアンタ!!はじめて会った日が夢のようっスよ!!」
そういえばあのときはネコ被ってたんだっけ。
「晋助様がこの傷のせいでアンタに罪悪感持ったらどうしてくれるんスか本当に……」
「イヤ治るでしょこのくらい。こんな傷でアイツが申し訳なく思うか?」
「……アンタ、ちょっとズレてるところあるっスよね」
そんなことはないと思うけど。
でかめの絆創膏を貼ってもらって、ひとまず治療は終わった。
で、だ。
「アンタはいつまでそうして蹲っているつもりなんだ?」
私の言葉に肩を揺らすケーキもとい伊吹は隣のベンチで膝を抱えて丸まっていた。
顔を上げずに唸るように呟く。
「死にたい……」
「そろそろネガティブループから帰ってきてくんない?」
さっきからずっとこの調子だ。
気持ちはまあ分かる。勘違いでここまで暴走してしまえば死にたくもなるだろう。
でもいい加減こっちまで気が滅入りそうだ。
「つーか、さっき散々話してくれた別にもう良くない?」
「Aさんの顔に……私のせいで傷が……」
「いやそっちかよ。晋助に対してやりすぎちゃった方じゃないのかよ」
「ぶれないなぁアンタ」
でもそうだな。このままだと面倒くさいことこの上ないし。
「アンタ。生徒会入ってよ」
「は!?」
「文化祭準備に人が足りていないんだよねー。それに、素を知っている奴がいると楽だし」
「え。いいいいい良いんですか!?」
「うん。それでケガのことも今回のこともチャラな」
「入ります!!」
「助かるわーちょうど召使いが欲しかったんだよね」
そんな会話を聞いて、来島さんは動揺しながら「コイツ今だいぶ酷いこと言ったっスよ」と口を挟む。
しかしその声は彼女の耳には届かない。
「いいじゃない、あっちも納得してんだから」
鼻で笑うとゴミを見るような目で見られた。
ギャルのような見た目で案外固いなぁ来島さんは。
「冗談だって。怖い顔すんなよ」
「わっかりづらいんスけど……本当、何なんスかアンタ……」
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2019年3月17日 16時