目を見て言って ページ29
「ちょ、ちょっと!!」
走り出したのは、もう良い。それについてどうこう言う気は無い。
そんなことよりも、だ。
「ねぇ、晋助ったら!!」
コイツ全然話聞いてくれねェ!!
そろそろ私、息があがってきているんだけど!!止まりたいな!!なんて!!
そんで私、今ローファーなんだよな!!そろそろ足が痛いな!!なんて!!
「い゛っ」
足の小指にひりつく痛みを感じて声が出る。
そこで晋助はようやく振り返った。
「大丈夫か」
「大丈夫か、じゃねーんだよ!!自分勝手に走りやがってぶん殴るぞお前!!」
「どこが痛ェんだ」
「足だボケ!!」
「歩けるか」
「あるけます!!」
「元気だなァ」
少し困ったような顔をする晋助。当たり前だろそこまで痛くねぇわ。
とりあえず近くの公園に入り、ベンチに腰掛ける。晋助はしゃがみこんで私の足首を軽く触る。
「捻ったのか」
「違うわよ。靴擦れしたの。ローファーで走るから」
「そうか、すまねぇ」
なんだかえらく素直だ。気持ち悪い。
「大丈夫か。絆創膏買って……」
「あーもういいって。そこまで酷くないから。何今日の晋助。変でしょ」
「変じゃねェ」
「変だって」
そっほを向く晋助の頬に触れる。
するとようやく。
「だって、全然、目を合わせないじゃない」
ようやく、目が合った。
「何、ビビッてんのかよアンタ。私なんかに」
「ちげーよ、ふざけんな」
「じゃあ目を見ていいなさい。何しに来たの」
額が触れるほど近づいて強制的に目を合わせる。
晋助が固唾を飲む音すら感じた。
そこまでして追い詰めて、互いにもう答えが分かっている問いを投げかける。
「ちゃんと話せ。あの日のこと」
それでも晋助は自分の言葉で言った。
「ごまかされたままじゃ、納得できねェ」
だから私ももう隠し事なんかしない。全て明かす。
元よりそのつもりで今日を迎えたのだから。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2019年3月17日 16時