友達くらいいるし ページ24
こうして見ると、天野は頓珍漢な印象を覚えるなあ、と再確認する。
一切の着崩し無しにタキシードを着ているくせに、両手をズボンのポケットに突っ込むという訳の分からない格好をしている。
品がいいのか悪いのかどっちだ。
あれ?そういえば。
「私、天野にいる場所教えたっけ?」
「そうだよお前!!GPS見たら学校にいないじゃねーか!!何で言わねえんだよ!!」
「すっかり忘れてた」
どうやらスマホのGPSアプリでここにいることを知ったらしい。送迎用に入れてて良かったな。
「あっちに車止めてるから。さっさと来い」
「まったく、無礼な男ね相変わらず」
「うるせ。お前の姉貴が機嫌損ねるんだよ、放置してっと。頼むから、さっさと乗れ」
「はいはい」
急かされるままに車に乗り込む。
動き始めた車の中で、天野はこちらに背を向けたまま声をかけたきた。
「お前さあ、何であんなとこにいたの」
「ん?私がファーストフード店に行ったのがそんなにおかしい?」
「一人で行ったのか?寂しい女だな」
「一人違うわ。二人だったっつーの」
「は?強がってんじゃねーよ。お前、友達いねーだろ」
「ぶん殴るぞ。昔の友達……違うかな。知人だよ」
「なんだそれ」
なんでもいいのーとうるさい天野を一蹴する。アンタは私の父ちゃんか。ま、ちょっと若すぎるけど父ちゃんみたいなものか。
私のやんちゃ時代に私が問題を起こす度に学校の呼び出しに応じたのも、やりすぎると叱ってくれたのも実の父ではなく天野だったのだから。
ぐだぐだと話している間に家に着いた。
夕飯を軽く食べていろいろと寝支度をしていると、また姉から呼び出された。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2019年3月17日 16時