らしくない ページ19
「停学が明けてもいないのに、久々に学校に来たと思ったら、お前の話をするもんだから驚いたぞ。そのうえ百合女にお前が通っているだなんて聞かされたしな。さすがの俺も混乱したぞ。だってあの熊みたいな女がまさかあの花の園の百合女に――――」
「はーい。そのくらいにしとけよ」
何故か途中から私のことを貶しはじめた桂の顔を掴んで黙らせる。手の下で桂の口が「すみませんでした」の形に動いたのを確認して、すぐに開放してやったが。
私はなんてやさしいのだ。
それにしても、やはり不自然だろう。
普段、共に会話をしないらしい晋助にこんな話をされたのは桂にとっても驚くことだったようだ。
普通にクラスメイトなら「そういやアイツに会ったんだけどさ〜」と多少疎遠になってなってても言うことはあるだろう。
しかし、コイツらは同じ学校ではあるが学級委員長と停学中のヤンキーだ。まるで別世界の住人。
つかそもそも「そういやさ〜」とかこないだ会った感じの晋助が言うとは思えない。
これらを考慮すると、少なくとも廊下で会った拍子に、なんてこともないだろう。
普段話さない相手に、停学中にわざわざ登校して、そんなことを伝えるなんて。
「A、高杉と何かあったのか」
……そうなるよなあ。
「つまり、それを聞きに来たのね」
「そうだ。あと、アイツにAの近況と転校した時の詳細を聞いてこいと遠回しに言われた」
「それで犬みたいに言うこと聞いてんのかよ」
「んまい棒30っ本がかかっている」
「安い男」
つかアイツもアイツで何やってんだよ。んなことするキャラじゃねーだろ。
「正直、俺自身も気になっているしな。あの男が俺に遠回しにものを頼むなんて世界でも滅亡しそうだ。いったい何があったんだ」
「何があった、ね……」
それを説明すろのは割と難しい。
まあ、端的に言うと。
「先日会った時に、私が変わったことに失望した的なことを言われた記憶ならあるわ」
「失望?」
「そ。だから、痛々しい格好してる奴に言われたくねーって吠えてやったの。あったと言えばそれくらいね」
軽めに言ってみたが、桂は割と引いたらしく眉をひそめていた。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2019年3月17日 16時