コスプレ好き桂君 ページ18
「それで、ええと。晋助が、何?」
出た声は思いの外弱弱しかった。
「お、話を戻すのか。……高杉に、Aが百合原女子学園にいると聞いてな。せかっくだから会いにきてみたんだ」
「あーなんかすごい普通の理由で今ちょっと逆に混乱してるんだけど」
私の言葉に桂は不思議そうな、それでいて不満そうな顔をした。
「お前、俺をなんだと思ってるんだ」
「女装野郎」
「好きでこんな格好をしているのでは無いわ!!」
いやお前は好きでやってるよ。素直になれよ。
そんなことより、結構声を張って言う桂のせいで周りの客が何だ?というようにこちらを見てくる。
ついでに桂の体つきを見て、「え、もしかして男?」とかこそこそ言っている。
あぁ、もう。桂の胸倉をつかんでぐいっと引き寄せる。
「マジで静かにしろよ。うちの学校の奴に見られたらどうしてくれんだ」
と、耳打ちした。
ぐっと息をのむ桂の胸ぐらをぱっと離すと、奴はおとなしくなった。
「てかヅラ。アンタまだ晋助と仲いいの?」
「ヅラじゃない桂だ。学校は同じだが、話すことはほとんど無いな」
「あぁ、そういや同じ学校だとか晋助も言ってたなぁ。学校同じなのに話さないの?疎遠?」
「というより、高杉はあまり登校してこない」
「何、不登校?」
「いや、停学だ」
「は?」
マジで何やってんのアイツ。あんな社会適合できてなさそうな格好してたからまさかとは思ってたけど。そうなると本当にもう私とは正反対の人間だな。
私がいつもボコボコにする側の人間。
「桂は?どんな生徒なの?」
「俺か?俺は学級委員長をしているぞ」
「あー一周回ってそういうのしてそうだよね。真面目だし」
天然なだけで。
一周回って、という言葉に奴は首を傾げていたが、まあ無視しよう。
しかしまてよ。
そんな状態の二人が何故、私の話なんかしたんだ?世間話なんてするようには思えないけど。
男同士の友情には私には理解の及ばない何かがあるのだろうか。
なんて思ってたら、桂はそれについても話始めた。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2019年3月17日 16時