【zm】助けて、となりのお兄さん。【d!】 (ページ2)

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『…あ、れ……』

目を開けるともう既に朝で眩しさで目を覚ましたのだとわかった。

今日は木曜、学校あるな…

『行ってきます…』

どれだけ嫌っていても家族である以上、最低限の挨拶は必要だろうと一応声をかけてはいるが、行ってらっしゃいを言われたことはほぼ無いに等しい。

あの人達からすれば私のおはようすら聞きたくもないのだろうが、生きている以上声はかけるし…

制服のシワを伸ばして荷物を持ち、使い古した靴を履いてドアを開ける。

「あっ…おはようさん…」

『……え、あ、おはようございます…』

びっくりした。今まで近所の人から挨拶なんてされた事なかったのに。
ウチは悪い意味で近所で有名なので親はともかく私に挨拶しようなんて人は滅多にいない。居るとすれば引っ越してきたばっかの人とか？

「……あの！！だ、大丈夫なん…？」

『……まぁ、はい。』

挨拶だけかと思いきやまた話しかけてきた…
ふと顔を上げると目が合ってしまった。よく見ればかなり顔立ちのいい茶髪お兄さんだ。

『……あ、えっと…学校なので…行ってきますね…』

「え！？あ！ごめん！！……良かったら、これ…」

『あ、ありがとうございます……？』

そう言って手渡されたのは最近有名になった近くのパン屋の紙袋。
中には4、5個くらいのパンが入っていた。
次にお兄さんを見た時には既に家の中へと入って行ってしまっていた。

不思議な事もあるんだなと思いながら心の中で感謝をして学校へとまた足を進めた。