便乗って素晴らしいですよね 【伊弉冉一二三】

流されて三十四回目 ページ35

「あはは、ですよね...って、はっ！？」
「さて帰りましょうか。」
「はっ、ちょ、ちょいちょいちょいっ。待ってください！」

背を向けた入間くんに思い切り手を伸ばし、全力で引き止める。

すると彼は『何か問題でも？』とでも言いたげな顔でこちらを見た。

「何か問題でも？」
「いや言うんかい。

じゃなくて、えっ、今『良い』って言いませ
んでしたか？」
「はい。」
「...な、なんで...。」

おかしい。こんなの絶対におかしい。
そう言う目線を彼に向けると、彼は小さく微笑んでこう答えた。

「何故、ですか。

まぁなんといいますか、一言で言えば、あなたのその目に惹かれたんですがね。」

目？


声にもならないその言葉を喉に押し込んで、生唾を飲み込む。

入間くんは綺麗なその緑色の瞳をこちらに向け、すっと長い指を私の眼球の前まで持ってきて、こう言った。

「えぇそうです。あなたのその




何にも興味も無さそうな目。




一体、貴女は何を求めているのか。





知りたくなったんですよ。」






やめて。


そんな目で、私を見ないで。

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