便乗って素晴らしいですよね 【伊弉冉一二三】

流されて二十四回目 ページ25

その日の夜。

彼は家で仕事への準備をしていた。


時計の針はそろそろ１０時を指そうとしていて、彼は少し玄関を見つつ、仕事服であるスーツを用意していた。

するとガチャリと音を立て、ドアから赤髪の彼は倒れるように入ってきた。

「つか…れた…。」
「お帰りー！おー独歩ぉ、今日は一層辛そうな顔してんなぁ。」

そういって彼はケタケタと笑っていながら、ぶっ倒れた幼なじみを家の中に引っ張り込む。
すると彼はふらふらと立ち上がり、クマがひどい目をこすりながら口を開く。

「会社で色々あって思い切り転んだんだよ...。それを色々な人に見られてて...、社会的に抹殺された。」
「ブフッ！なにそれマジウケるんですけど〜！独歩ついてねえな！」

爆笑しながら彼は言う。

すると時計がちょうど10時を指す。彼の携帯のアラームがなる。

「うっわ、もうこんな時間！そろそろいかなねーと間に合わねー！」

そう言って慌てながら仕事服を着始めた彼を横目に、独歩は今日の昼のことを思い出す。

聞くべきか一瞬迷ったが、彼は恐る恐る口を開く。

「なあ、一二三。」

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