便乗って素晴らしいですよね 【伊弉冉一二三】

流されて十六回目 ページ17

「いつでも連絡してきていいからね、プリンセス！」
「...はい。」


何だかんだで交換してしまった。私の数少ないSMS上の友達にまさかホストが追加されるなんて誰がいつどこで予想できただろうか。できるわけがない、だって自分ができてなかったんだから。

「そ、それじゃあ私はこの辺りで...ほら、真美行くよ。」
「ほにゃあ...？」

酔った彼女は完全に出来上がっていて。はぁ、この子を連れて帰らなきゃか。せめて入り口まで連れて行ってタクるか。

そう思っていた時、

ふわり。

彼女の体が浮いた。

「あぁ、大丈夫。彼女は僕が連れて行きますよ。大丈夫？真美ちゃん。」


なに君だっただろうか、彼女の相手のホストが彼女を姫抱きした。

思わずそこに立ち尽くしてしまう。こんなことまでするのか。



「えっと、ごめんなさい。私が不甲斐ないせいで...。」

そう言って頭を下げると何かが私の頭の上に乗る。
上を見ると、大きな彼の手。

「さっきも言ったでしょ？一華ちゃんが謝ることじゃない、って。」
「あ、すみませ...あ。」

反射的に謝る私に、再度微笑みかけてくる彼。



「ほんとに似てるなぁ。」

「...？はい？」
「あ、いいやなんでもないよ。」



そう言って笑う彼。
謝ったって別にいいじゃないか。私はちょっとだけ不満を抱く。






それで、生きてきたんだから。


生きていることに、謝り続けてきたのだから。

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