便乗って素晴らしいですよね 【伊弉冉一二三】

流されて一回目 ページ2

きっかけは特になんてことない1日に起きた。

薬剤師になりたくて勉強をしていたはものの色々あって結局なることを諦めた私。それでもやっぱり医学部で培った経験というのは生かしたく、医者なんかは到底なれるわけなどないので医療系の会社に入った私。まあそこが見事に大外れで。まさかここまでブラック企業だったとは。私なんかまだ良い方らしくて、男性の中にはもっとキツイ人もいるらしい。

そしてその日もいつもと同じ一日だった。
女尊男卑なんてふざけた制度のせいで女性社員が少ないこの会社で、唯一の女友達、というか会社にとどまらずもしかしたら私の唯一の友達かもしれない彼女と昼ご飯を食べていた時。

「ねえねえ、一華ってさ、好きな人とかいないのー？」
「…ぱーどぅん？」
「ぷはっ、めっちゃジャパニーズイングリッシュじゃん。」

私の英語能力に爆笑する彼女。悪かったな、これでも成績10中9とかだったよ。

「この私に何を聞くのかと思えば。私は仕事で生きていくと決めました。」
「マジで言ってる？この会社で？」
「…うるさい。」

確かに正直想像していたようなキャリアウーマンライフはおくれてない。35億っていえてない。でも本当に、もうすぐ三十路とかで好きな人とか不釣り合いすぎる。そう思っていることは確かだった。

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