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酒場に入ると女性がいた
この酒場の店主さんらしい
名前をマキノさんという
マキノさんは“シャンクス達のような”人間に慣れているのか、気前よくお酒を出したりしてくれていた
「へぇそれでここにいらしたんですね！」
「そうなんだ。あそこに居るのが…」
シャンクスは何やらマキノさんと色々話をしたりしているらしく、その延長線で私とウタの話もしているようだ
「！……」
たまたまこちらを見たマキノさんと目が合い、いつもの愛想笑いをした
マキノさんは人懐こそうにニッコリと笑っていた
良い人なんだろうけれど
あまり関わりたいとは思わなかった
その日の夜
ウタを寝かしつけるために私は暫くウタの部屋で絵本を読んでいた
ウタは寝る間際に
「ララ。明日一緒にこの島を探検しよ?」
「……いいよ。ウタが行きたいなら付き合うよ」
「ホント!?ありがとう、ララ…大好き…」
そう言うと私の手を握った
私の手よりも小さな手
満足したのかそのままゆっくりと瞼を閉じて寝た
握られた手を無言で放す
まだ子供だというのもあり、ウタの手は温かい
「………………」
だけどその温もりでさえも。私の心には何も感じさせなかった
ウタの部屋を出て甲板に出る
辺りはすっかり暗くなり、月と星々が夜空を照らしていた
ほんの少しの間なら。船を降りても問題無いだろうか
「！……?」
だがその気持ちは一気に無くされる
違和感を覚えたから
「………はぁ…」
本当に最悪
私は止むを得なく部屋に戻った
そして部屋にあるクローゼットを開ける
明日はウタと探検をしに行かなければ行けない
私が行けないとなったら駄々をこねるだろうし、最悪愚図る可能性もある
ああ見えて中身はまだまだ幼い。甘えたがりなあの子のことだ
シャンクス達に八つ当たりをする可能性もある
“私が約束を破ったから”と言われるのも面倒だから
行く以外の選択肢はない
なんでこのタイミングなのか
心の底から間の悪さに苛立ちを覚えた
女は本当に面倒くさい
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