お兄ちゃんになんてなりたくなかった

お兄ちゃんになんて…32 ページ36

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賢二郎side




あれから色々考えていたせいか部活に身が入らず監督に叱責を受け最終的に「その状態で練習に入られても邪魔なだけだ」と強制帰宅。


天童さんには「妹ちゃんとなんかあった？」と聞かれ否定はしたが嘘であることはあの人にはバレているんだろう。



そもそも天童さんが余計なこと言わなければこんなことにならなかったし余計なことを考えずに、思い出さずに済んだはずなのにと責任転嫁をする。




＿＿＿＿＿ｶﾞﾁｬ





「ただいま」



家に帰りリビングに向かう。と同時にため息が出た。理由は俺の目線の先。制服のまま呑気に寝ているAの姿。



「……はぁ。寝るなら部屋で寝ろよ。せめて制服着替えろっての」



『ｽｩ…………ｽｩ…………』


制服のままのせいでスカートが捲れ普段は見えないAの太ももを見てゴクリと息を飲む。



「っち」



少しでも邪念を吹き飛ばすためにもジャージの上着をAに掛けて空いたスペースに座る。チラっとAを見れば少し目元が赤くなっているのが目に入りそれと同時にクッションが濡れているのに気付く。



「……泣いてた？」




Aの目元を優しく指でなぞる。くすぐったそうに身を竦めるすAを見て頬が緩む。




「っふ……コイツ、ガキの頃と寝顔変わらないな。」



『ん…………ぉ兄……ちゃん、、、』



「…………お兄ちゃんね」




あれだけ言ったのに。こいつにとって俺はやっぱりお兄ちゃんとしか思われてないんだと思い知る。



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