シルエット３

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「とも。今日、一緒に帰らへん？」


早口にそう言うたんは・・・


小瀧のそばから引き離したい。

たったそれだけの理由。






練習終わったんは、２０時半頃。

その帰り道。

なんとかして、小瀧を巻きたいのに、
あっちもなかなかのツワモノで、
俺らにピタッと張り付いてくる。


「３人で飲みに行きましょうよ！
俺も先月ハタチなったんで！」


「そや、のんちゃんの誕生日まだ祝ってへんな。
流星おらんけど・・・」


「藤井先輩には誕生日プレゼントもらったんで！
今日行きましょ」


「そやな。
じゃあそうしよか」


「じゃあ、俺もしゃあなしで祝ったる」


「重岡先輩、彼女の看病ええんですか？」


小瀧のヤツめ。

一言余計やねん。


「風邪うつすから見舞いはいい言われたから。
俺も行く」


なんか、むきになって子供みたいでカッコ悪いわ。


「そうっすか。
じゃあ３人で行きましょか」


人畜無害の大型犬と見せかけといて、

恋愛経験ほぼない、
恋愛ド下手な俺なんかより、
絶対、手慣れてるやろ。


もしかして、俺の気持ち、気付いてる？


やから、あんなカマかけるような事、
聞いてきたんかもしれへん。





当然のように、
この前の居酒屋のつもりでおったら、

小瀧に連れて来られたんは、
なんとも小洒落た、隠れ家風のショットバー。

その名も、BLACKKINGやと。

うー、なんか知らんけどムカつく。


ちょっと飲んでて気付いてんけど。

とも、お酒弱いみたいやねんて。

甘ったるい女の子が飲むようなカクテル、
２.３杯だけで、もう、目がとろんとなってる。


なんちゅう、可愛いさ。

こんなとこ、俺以外のヤツに見られたくないって。


いうか、俺ら、ただの友達やねんから、

俺には、そんな事、思う権利もないねんけどな。


小瀧は二十歳になったばっかの割に、
結構、いける口。


「重岡先輩が恋愛音痴なん、分かりました」


カウンターに頬杖ついて、俺を見つめてくる。


「なんで？」


「彼女が看病いらん言うても、
それ、強がりでしょ。
いうか、反対の意味」


「そうなん？」


俺、自分が体調悪かったら、
彼女には来てもらいたくないから。

てっきりそうなんやとばっかり。


「もしかして美桜ちゃんの方から告白されました？」

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