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あれ以来、
恋って感情に出くわすことは、
俺の人生ではないねんけどな。
他の人って、
簡単に誰か好きになれるみたいで、
羨ましい。
俺は、美桜ちゃんを好きにならなあかんねん。
そんな事考えてたら・・・
「うー、お腹痛なってきました・・・」
急に小瀧がお腹押さえて、スタジオから出てった。
必然的にともと二人きり。
めっちゃ気まずい。
いや、気まずい思てんのは、俺の方だけか。
気の利いた話題なんか思いつかんし、
今話したら、
小瀧と仲良くせんといてとか、
あり得へん発言してまうんは分かってるから、
キーボード弾いてるふり。
実際、弾いてるんやから、
ふりとはちゃうけど、
どうも集中出来へん。
そうやというのに。
「しげ。さっきんとこやけどさ、
ちょっと合わせてええ?」
ともが話しかけてきた。
「さっきのって?」
無意識に弾いてたせいで、全く記憶にないねん。
「さっき弾いてたとこやん」
「何やったっけ?」
「マジで言うてんの?
おかしなヤツ」
呆れて笑われてんのに、
その笑顔も、めっちゃ可愛ええなあって。
昔、ともは、
自分より可愛い女の子なんか星の数ほどおる、
言うてたけどさ。
この4年、探してみても、
そんな子に一人として出会わへんかったで?
やっぱり、こうして見ても、
ともは世界一可愛い。
「ここやん」
離れたとこにおった、
ともが立ち上がって、
俺んとこに歩いて来て、
なんと俺のすぐ隣に立ってん。
しかもその至近距離から、
俺の指が乗ってる鍵盤に触れて。
綺麗な指で、弾き始めてん。
キーボードも弾けんの?
ともは器用やもんな。
吹奏楽部ではトランペットやってて、
初心者やのに、
すぐに一番上手くなってた。
「めっちゃ綺麗なメロディよな。
しげが作ったんやろ?」
「ま、まあな」
「しげ、作曲するなんて凄いやん!」
「まだこの曲だけやけど・・・」
「めっちゃセンスあるわ!
俺はこの曲大好き」
大好きって、
あの頃と変わらん、
きらきらした目で言われらさ。
平常心でおられへん。
「あ、ありがとう・・・」
俯いたまんまで、そう言うぐらいしか。
「俺も書いてるねんけど、
なかなか納得いくもん出来へんねんなあ」
「そうなん?」
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りっつ(プロフ) - 久しぶりに読んで胸がふるふるしてます。あの、もしよかったら、修くんに緑ちゃんとの初恋を話してきかせる赤くんの場面を読みたいです。お時間あるときに是非書いてください!お願いします! (2021年5月29日 9時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ロスすぎるううううう!!!!!!マジで泣いた (2021年2月8日 0時) (レス) id: d9b566665e (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に大好きな作品でした。桃さんや真琴ちゃん美桜ちゃんの気持ちを考えるとただただ切ないですが、それと同時に赤緑が結ばれたのはまさに運命と思わされます。何度も読み返させていただきます。お疲れ様でした! (2021年2月5日 20時) (レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
ジャスミン黄橙(プロフ) - 最初っからドキドキが止まりませんでした!!完結おめでとうございます!! (2021年2月5日 19時) (レス) id: 0cd046be96 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人がやっと結ばれてすごく嬉しい気持ちでいっぱいですが、終わってしまうのが寂しいです…(><)続きのお話も読んでみたいな、と…。本当に素敵なお話をありがとうございました!! (2021年2月5日 0時) (レス) id: 118c412c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fool | 作成日時:2021年1月31日 19時