シルエット３

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「望の事は俺に任しとき。
あいつももう分かってる思う。
ええ加減、諦めなあかんて。
どうしようもない事もあるって」


「・・・けどな、流星。あかんねん」


「なんで？
しげも神ちゃんを好きやろ？」


「そう言うてくれたけど・・・
付き合われへん。
大毅は俺とは違って、
素晴らしい将来があるねん。
難しい研究してさ、
世の中の役に立つ人になるねんで。
俺、邪魔したくない」


「神ちゃんの存在が邪魔なわけないやんか」


「けど、偏見とかあるやんか」


「だんだん、
そんな息苦しい社会や無くなってくと思うけどな。
それにさ。
しげにとって、
神ちゃんのそばにおれる事が、
一番の幸せなんやと思うで」


大毅にはずっと笑ってて欲しい。

世界中で一番幸せでいて欲しい。


それはずっと前、

大毅に惹かれてるって気付いたその時から、

想ってた事。


俺は、大毅のそばにおってもええん？


「流星、ありがとうな。
話聞いてくれて、ちょっと楽になった。
のんとはちゃんとするから。
流星、のんの事、頼むな」


「うん。
望の涙は俺が受け止めるから」


「ありがとお・・・」


流星がおってくれて良かった。

やないと、
俺、一人で自己嫌悪に飲み込まれてまうとこやったと思うねん・・・


のんに、話があるって、メールしようとしたら。


『明日。神戸の街デートしませんか？』


のんの方から先にそう来た。


『うん。ええよ』


たったこれだけのやり取りやのに。


望がそこで別れ話するん、

気付いてしまった。


最後は、思いっきり恋人らしくしよう。

一番楽しい思い出を作ろう。


望がそう願ってる気がするから。



それから、大毅に・・・

好きって言えるかな。


俺、自分から誰かに好きって言うた事ないねん。

結構、勇気いる。


大毅、どんな顔、するやろう・・・









神戸大の学祭初日やけど・・・


ハーバーランドでのんと待ち合わせ。


時間よりだいぶと早く着いたのに、
のんはもう先に待っててくれてて。

俺を見つけて、優しく笑って、軽く手を挙げる。


その仕草の全部、
誰よりもカッコええのにな。

のんは俺には勿体無い。


「今日はどこ行く？
智洋の好きなとこ、どこでもええよ」


いつも通りの明るい笑顔作ってくれてる。

のんの優しさに、胸が痛くなる。


けど笑ってな。

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