シルエット３

３ ページ37

大毅に触れられたら、
カラダに甘い電流走ったかのような、
衝動が起こった。


勝手に上擦った声が溢れて、止まらんなって。

どんな小さな感覚も逃したくなくて、
研ぎ澄まされて・・・


あの感覚はきっと、
他の誰が相手でも起こらへんねや。


「のん・・・ごめん」


「感じひん？」


「ごめん・・・」


身体に感じてた重みがなくなって・・・

のんが俺に服を被せてくれた。


ベッドの端っこに腰掛けて、
項垂れてる望に、


「ごめんな・・・」


以外の言葉、浮かばへん。


「俺ん問題で、のんは悪くないから」


「もうええって。
気にせんといて」


「のん、ほんまに、」


「ええからっ。一人にして欲しい・・・」


穏やかで優しい望に、
こんな声荒げさせてまうなんて。


「ごめん。先、帰るな」


１万円で足りるんかな。

財布出しかけたら、


「これ以上惨めにせんとって」


言われてしもた。


一人で部屋を出たけど、
終電、とっくに終わってて。

仕方なく深夜の街を彷徨う。


男が相手でも無理やった。

しかも相手は、のんやのに。


大切な人をまた傷付けてしもた・・・









次の日から、のんはいつも通りの態度で・・・

優しくされる度に、苦しい。

あんな傷付けたのに。



流星は、最近の俺の様子がほんまに心配みたいや。


ゼミ室に二人残って、
珈琲やと胃にくるから、
紙コップのココアを飲んでる。

包み込んだカップがあったかくて、
甘さが優しくて、

そんぐらいの事で、泣きたくなった。


「神ちゃん、どうしたん。
ほんまに元気ないやん。
寝てへんやろ？
ちゃんと食べてる？
何なら食べれそうなん？」


そう聞かれて、真っ先に頭に浮かんだんは。


「ピオーネ」


「ピオーネ？ああ、ぶとう？」


「うん。
でも普通のぶとうとちゃうねん。
特別なピオーネ」


流星、
なんでか泣きそうな顔して、
しばらく黙ってて。

それから。


「なあ、神ちゃんさ、
ほんまに好きな人んとこ行き？
しげのこと、忘れられへんねやろ？」


落ち着いた優しい声で言うねん。


「流星・・・」


「素直になってええと思うで」


「けど、のんの事、傷付けてまう」


「気持ちないのに、
そばにおる方が、
よっぽど傷付けると思うで？」


流星の言う通りや。

俺の弱さが、余計に望を傷付けてるねん。

４→←２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す