シルエット３

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耳元で、のんの低い声が響いた。

え・・・


カウンターに置かれた俺の手。

のんのおっきな手が包み込んでる。


断ろうって感覚的に思った。

やけど、俺ら、付き合うてるねんし。


進んでくのが当たり前やんな。


一緒にご飯食べてるだけなら、
ただの男友達やん。


「うん、ええよ」


胸の中の大毅の笑顔を押しやって、
そう答えた・・・





ブティックホテル、つまりは結局、ラブホ。


「智洋、こっちおいで」


のんがいつもと違うシックなトーンで来るから。

どうしてええんか、分からへん。


覚悟も決まったわけでもないし。


「俺、こういうとこ、
実は初めてやねん。
案外オシャレで普通な感じやねんな！
ベッドふかふかやん！」


落ち着かんくって、
はしゃいでる俺の手をのんが掴む。

そのまま引き寄せられて、
ぎゅっと抱きしめられた。


「俺、余裕ないねん。
すぐにでも智洋が欲しい」


大毅に嫉妬してるからやんな・・・

全部、俺んせいやねん。


大毅に抱かれてから、
女の子とは無理になった。


いざその場面なっても、
相手のカラダに何の興味も起こらへんねん。

無理に自分を奮い立たせて、
関係持った事あったけど、

結局途中で無理なって。


女の子に泣いて詰られたんは、本気でトラウマ。


相手が男なら大丈夫なんかも、って。

ずっと悩み続けてた。


シャワー浴びて綺麗にした後。

ベッドの前で。


「智洋、怖かったら言うて？」


のんが優しく聞いてくれる。


「うん。
のんなら怖くないよ」


不思議なぐらい、落ち着いてる。

誰かとこんな風になるん、
忘れかける程、久しぶりやし、

心臓壊れそうになっても、おかしないのにな。


ぽすんとベッドに座らされて。

のんが俺に覆い被さってくる。


洋服剥がされて、
気まずいなとは思ったけど、

それ以上の気持ちが湧いてこおへん。


大毅にカラダ見られた時は、
恥ずかしいて、死ぬか思ってんな・・・


「智洋、好きや。
ほんま可愛い」


大毅とは違う声。

大毅とは違う匂い。

大毅とは違う温度。


大毅とは違う吐息。


身体中にキス受けながら、
頭の中はそればっかりで・・・


やっぱり何も感じる事、出来へん。

感じな、気持ち良くならな、って、

焦れば焦る程、

カラダは無反応になってしまう。

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