シルエット３

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大毅が俺の写真を？


嬉しいなんて、思ったらあかん。

俺はのんと付き合うてるねんから。


やけど、どうしても、心は勝手に踊ってる。


「そら、高校の同級生やから。
写真ぐらい写ってるわ。
ほんまいい加減にしてや。
ちょっとこっち来て」


のんが酒井さんをカフェから連れ出してく。


「神ちゃん、大丈夫か？」


流星がおしぼりで俺の洋服拭いてくれたけど、

今日に限って、白っぽい服やし、

コーヒーのシミはくっきり。


これぐらいの罰、受けなあかんよな。


酒井さんを傷付けて。

大事な後輩の望の事も傷付けて。


それでも、大毅が好きなんて。


けど、俺、大毅とは付き合うつもりないねん。


望との事がなくても。


大毅は卒業したら、
エリートになるやろ？

修が言うてた話が、
頭から離れへんねん。


ゼミの先輩が、
就職先で偏見の目向けられて、
仕事辞めてしもた事。


大毅の将来、壊したくないから。









着替える間もないし、
流星が着てたパーカー借りて、
上から羽織っただけで、
軽音の練習に来た。


学祭までもう時間ないし。


酒井さんが辞めてしもた事で、

ボーカルどうするかってなって、


話し合いの結果、


俺と大毅のダブルボーカルで行くことに決定してん。


歌詞も覚えなあかんし、
急にやる事増えた。

そんで、ダンスの方、あんまし行けてないねんけど・・・


大毅と歌える事は、めっちゃ嬉しいし、楽しい。

音楽で繋がれてるだけで幸せやと思うねん。



今日は音大の防音室が取られへんかって、

初めて、神大の空き教室でやるねんて。


大毅の学校に行けるって思うだけで、

心臓がばくばくしてる。


望は今日までのレポートあるし、
ちょっと遅れる言うてて。


俺一人で、指定された校舎の講義室のドアの前に立つ。

なんでか、ドアが薄く開けっぱなしなってて。


そっと手をかけた時、

中で派手に、何か倒れる音？
壊れたような音がした。


慌てて、踏み込んだら・・・


ベースの修が、
倒れた大毅に馬乗りなって、
拳を振り上げてるとこやった。


大毅の唇からは既に血が出てる。


「しげ、お前、ふざけんなやっ」


このままやと大毅が殴られてまう。

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