シルエット３

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気付いたら、咄嗟に走り出して、
修の腕、掴んで、
必死に止めてた。


「神ちゃん！なんで止めるねん！
こいつが何したんか知ってるか？
美桜ちゃんと別れたんて、
こいつの浮気が原因やねんて。
昨夜、それ美桜ちゃんに聞いて、
俺、怒りで震え止まらへんかった。
そんで美桜ちゃん、
しげに会うんが辛いから、
バンド抜けるって・・・
抜けるんはしげの方やろ」


なんで、そんな嘘。

大毅に浮気なんか出来っこないのに。
　

そやのに。


「そやな。
修の言う通りや」


大毅、なんの弁明もしいひんねん。


修は、合格発表の時からの友達や言うてた。

大学入ってからは気の合うヤツ多いって、
喜んでたのにな・・・


大毅は分かってないやろうけど、

修は酒井さんに惚れてるから、
ずっと嫉妬しててん。


酒井さんの事になったら、
冷静な判断出来ひんなる。


「お前。
あんな、ええ子泣かせるって。
俺ならっ・・・」


修がまた大毅の胸ぐらを掴もうとするから、
間に入って、立ち塞がる。


「神ちゃん、どいてや」


「どかへん。
しげが浮気なんかするわけないし。
そんなん酒井さんの誤解や」


「・・・なんで言い切れんねん」


修がやっと拳下ろしてくれた。

けど・・・


「ごめん。
俺、頭冷やしてくる。
修の言うたことは、
よく考えてみるから」


大毅、そのまま講義室から出てってもうてん。


慌てて追いかけたけど、見失ってしもて。

見知らぬ大学で、
うろうろしてるうちに、
迷子状態。


中庭のベンチでぼんやりしてる大毅に会えた時は、
めちゃめちゃほっとした。


「しげ、探したやん。
いきなしおらんなるから、
俺、迷子なってもうたやんか」


「ごめん・・・」


「さっき、なんで弁解せえへんかったん？
修に浮気なんかしてへん言うたら良かったのに」


「浮気やないけど。
他に好きな子おるんは事実やから。
それに、美桜ちゃんを好きになられへんかって、
傷付けたんも事実や」


他に好きな子。

その名前は聞いたらあかん。


もし今も俺を好きやって。


大毅の声で聞いてしもたら。
俺は自分を抑える自信なんかない。


ううん。

ほんまは最初から。

俺の目には、

大毅の事しか映ってないねん・・・

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