【WT】額縁に白を塗って【軍パロ】 (ページ8)

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kr side

ne｢…遅くまでありがとう、お大事に｣

そんな声と共にシャークんの専属が医務室から出てくる

少し焦ったが、暗い廊下でしゃがんでいたら気付かれずに済んだ

俺だって盗み聞きなんて不本意だ

点滴を変えていないことに気づき、医務室に来たらなにやら重そうな話をしているAちゃんとシャークんの専属がいた

幹部の俺が聞いてもいい話なのか分からなくて咄嗟に身を隠してしまい、所詮盗み聞きをしてしまった訳である

それにしてもメイドはメイドで大変だなぁ

そんな事をぼんやりと思っていると医務室からこちらに向けられた声が聞こえた

『盗み聞きなんていい趣味ですね』

急な声に体が跳ねるのを感じる

kr｢…気づいてたんかーい｣

思った事をそのまま言いながら医務室に入ると、何食わぬ顔で俺を見つめる真っ直ぐな瞳

シャークんの専属に気づかれなかったことを言えば少し安心したようにAちゃんは息を着いた

『愛されてますね、羨ましい限りです』

羨ましい、とAちゃんから発せられたことの無い言葉に少し違和感を覚える

kr｢ほんとに、あいつは恵まれてるよ｣

『…きりやん様もですよね』

kr｢あはは、そうかも｣

笑って誤魔化すと珍しく少し不機嫌そうに顔を歪めるAちゃん

そんなに俺が恵まれてるの嫌なの？？

心の中でそう思いつつ、点滴を変えて医務室を出た

自室へ帰っている途中思い浮かぶのはAちゃんの顔だった

羨ましい

そう発していた時の表情が俺の心を締め付けた

ほんとにアイツは恵まれてんなぁ

あぁ

俺だったらそんな顔させないのに

…違う、

アイツだけが恵まれているわけじゃない

そんなこと分かってる

分かってるのに

kr｢…はぁ｣

もやもやとした気持ちを吐き出すように息を着く

暗闇の中を頭を掻きながら1歩1歩進む

黒い感情は暗い空気に溶けていった

￣