検索窓
今日:17 hit、昨日:43 hit、合計:38,929 hit

56 ページ6







ne「こんな遅いのに、すみません」


『大丈夫ですよ、いつも寝てるだけなので』





電気をつけて座り直す




『…そういえばネルさんっていつからシャークん様の専属なんですか?』




私がそう聞くとネルさんは躊躇いもなく答える




ne「3年前、くらい」


『その時のシャークん様は…?』





ne「…元気だった、とにかく訓練に行って、軍隊の方と食事をして、幹部の皆さんとお話をして」


でも、と付け加えるように話す





ne「段々訓練に行くのが怖い、と仰った」


『…怖い?』



ne「はい、剣を見るのが怖い、もう訓練には行かないって」



急なシャークん様の弱音に1番驚いたのは彼女だろう





続けて話し出すネルさん



ne「でも、そこから…」


そこで口を噤むネルさん





『…無理しないでくださいね、』



そう言うと小さく頷いて、ゆっくりと話し出した





ne「…食事に毒を持った、私の友人の専属メイドが」





それを聞いてやっと理解した






確かあの時も私はシャークん様にお前も毒を持っていると鬼の形相で言われた


そこが関係していたのか






ne「異変に気づいて直ぐに吐いたから命は助かった、もちろんそのメイドは殺された」



寂しそうな悲しそうな目で話すネルさん






自分の友達である人が主に毒をもったなんて相当衝撃だっただろう






ne「それからシャークん様は部屋に籠った、」




信用していた人からの裏切り、それはシャークん様の心にトラウマとして刻み込まれたのだろう


自分の仕えている人が変わっていく様子を1番近くで見ていた彼女はどんな瞳で見ていたのか






ne「…苦しかった、独りのシャークん様を見ることが」



続けて言葉を発する







ne「怖かった、変わっていく人達を見るのが」






ne「耐えられなかった」







言葉が出ない、かける言葉が見つからない






沈黙の中で外の風が窓を揺らす






時計の針がかちりと動く音






どくりと煩い自身の鼓動






ne「ありがとう」



私を真っ直ぐ見つめる翡翠色の瞳






ne「なんか、肩軽いかも」



さっきよりも明るい顔で言うネルさん





『…良かったです』



思わず笑みを零すとネルさんもにこっと目を細める






ne「…ありがとう、Aさん」







儚く笑うネルさんの笑みは、脳裏によく焼き付いた








57→←55



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (177 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
683人がお気に入り
設定タグ:WT , 白尾 , 軍パロ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆり | 作成日時:2023年4月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。