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朦朧としていた意識を取り戻す
まだ眠気が残ったままの体を起こして目を開けた
br「おはよ〜」
『びっ…!…くりした、』
向かいのベッドで座ってこっちを見ているぶるーく様と目が合う
『…朝から心臓に悪いですよ』
驚きでバクバクとなる心臓を抑えながらそう言うと、ぶるーく様はにこにこと笑みを浮かべて言った
br「そんな驚く?楽しみで早く起きちゃった」
えへへ、と笑うぶるーく様
早く起きたからって寝ている人の部屋に入るのはどうかと思うが、
そんな事を思っている私を置いて話し出すぶるーく様
br「そういえばAちゃんってメイド服以外持ってるの?」
私服とか見た事ない、と呟かれる
『もちろんですよ、メイド服だけで生きてけませんし』
とりあえず用意するので外で待ってて貰っていいですか、と言うと大人しく医務室から出て行ってくれた
今日は大変そうだ、と朝から思い知らされた気がする
 ̄
『すみません、お待たせしました』
バッグを肩にかけて扉の向こうで待って貰っていたぶるーく様に声をかけた
br「全然だいじょ…」
急に言葉を止めるぶるーく様
『…ぶるーく様?』
呼ぶと意識が戻ったかのように突如物凄い速さで話し出した
br「なんでそんなに可愛いの?は?なんで?」
『…怖いですよ』
br「こんなの他の人に見せられないし〜!今日はお家デートにする??」
『馬鹿なんですか、そもそもデートじゃないので』
そんな私の声も届かないようでどうしよう、と1人で悩んでいるぶるーく様
この方は本当に頭大丈夫だろうか
br「まぁ僕がいるしいっか!今日は離れないでね」
行こう、と手を出される
『はい?』
br「離れたら危ないからね、手繋ご?」
こっちが折れるまで進まないようなハッキリとした意思が見え、仕方なく手を取る
br「んふふ、やった〜」
繋いだ手をゴソゴソと動かして指を絡められる
『…あの?繋ぐだけですよね』
br「こっちの方が離れないから〜」
そう言いながら上機嫌に歩くぶるーく様
もういいや、と半分呆れながら城の外に足を踏み込んだ
 ̄
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作者名:ゆり | 作成日時:2023年4月29日 22時