１０ ページ10
先輩の左手が、私の血で染まっている。
看護師さんが来て、私の状況を把握するとすぐに止血の処置をしてくれて、温かいタオルを用意してくれて血だらけの手を拭いてくれた。
床に落ちた血も掃除させてしまって謝ると、困ったように無茶しちゃだめよとやんわりと叱られてしまった。
金城先輩が手を洗って戻ってくると、トレーニングジャージも血で汚してしまっていたことに気づいて謝ると、構わないと首を横に振られる。
私を診てくれた先生から、千葉に帰ったら地元の病院に持って行ってねと、診断書と紹介状をもらった。
もう帰っていいと言われて、夜遅い時間にタクシーでホテルまで金城先輩と帰ることができた。
ホテルに着くまで金城先輩はずっと無言で、それでも私の手をずっと繋いでいてくれている。
もう夜の２２時を回っていたのに、ロビーでみんながお迎えしてくれて、私の体を心配してくれるみんなの前で金城先輩は口を開いた。
「姫。明日はラストステージだ。･･･しっかり体を休めて明日に備えろ」
「･･･っ！はいっ。ありがとうございます･･･っ」
明日、私は走れる･･･。
嬉しくて潤んでしまった目をクシクシと擦って返事をした。
手嶋先輩と青八木先輩、田所先輩と巻島先輩は金城先輩の名前を咎めるように呼んだけど、金城先輩は少しの無言の後、『姫の意思だ』と言ってくれてホッとする。
私がお部屋に戻る時、みんなに金城先輩が話があると呼び止めていたけど、私は明日に向けてお部屋に戻ることにした。
自分のお部屋に戻るとすぐにお風呂に入って、濡れた髪を拭いているとノックの音が聞えてきた。
扉を開くと手嶋先輩が立っていた。
「あれ･･･？青八木先輩は一緒じゃないのですね」
「ああ･･･。ちょっと、入っていいか･･･？」
「あ、はい。どうぞ」
手嶋先輩をお部屋に通すと、私の濡れた髪をひと房手に取って、乾かしてからだなと言われた。
無言で私の髪を後ろから拭いてくれて、ドライヤーをかけてくれる手嶋先輩に、私は何だか声をかけづらくて無言になってしまう。
ドライヤーの音と風が止んで、顔をあげようとした時、後ろに突然引き倒された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - 佐藤悠真さん» 嬉しい感想ありがとうございます＾＾何度も評価出来ないことを初めて知りました（汗）応援ありがとうございます♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月25日 1時) (
レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - このお話大好きでいつも閲覧させてもらってます。でもそこに襲いかかってくるのが評価は一度しかできないという冷たい現実…(泣)いつも応援してます！更新頑張ってください！ (2020年4月25日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - みー姉さん» 嬉しい感想ありがとうございます＾＾好きの一言にたくさんの気持ちが篭っているのを感じてとても嬉しくなりました。その一言で十分です！今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月24日 1時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
みー姉 - 好きです。私もローディーで…とか最初から読んでます…とか、初コメですとか、色々言いたい事はあったはずなのですが、頭悪い感想しかなくなりました。好きです。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: fdbf7ce13f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Lienさん» 嬉しいコメントありがとうございます♪何度も読み返してくださっていると聞いて心がポカポカになりました＾＾頑張って続けていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月2日 17時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2019年12月17日 2時
