２６ ページ26
いけない････っ！
私はペダルを回す足を止めて、小野田くんの真後ろに下がると翼を発動させて小野田くんの背中に手を置いて押し出した。
急速に消えていく翼を小野田くんは信じられないものを見るように私に視線を向けて、だけどその手はしっかりと鳴子くんが掴んでくれている。
私が微笑むと、小野田くんは泣き出しそうな表情で、それでも唇を噛み締めて全力でペダルを回した。
うん、それでいいんだよ。
行って････っ！！
「「「姫ぇぇぇぇぇっっっ！！」」」
田所先輩、巻島先輩、鳴子くん、そして小野田くんが私を呼んでくれた声がしたけど、それは一瞬で車輪の音で掻き消された。
集団の真ん中まで下がった私は、下を向いて浅くなった呼吸を必死で整える。
良かった･･･小野田くん、飲み込まれずに済んだ･･･よね･･･。
私はもう、みんなと一緒に走ることは叶わないのかもしれない。
走りたかった･･･けど、もう無理みたい･･･。
周りの選手の人たちが口々に大丈夫か？と聞いてくれるのに無言で小さくコクコクと頷くけど、顔はなかなか上げられない。
すると大きな手が私の肩に置かれて、ハッとして見上げた。
「取り残されたとか？しょげた顔ばして！総北の姫さん！」
「あ、なたは･･･熊本の･･･？」
「ははははっ。安心すっとよか！」
「ぇ･･･？」
「この集団の行き先は、先頭だいな！」
「先、頭････？お、いつくの、ですか･･･？」
不安げに見上げると、熊本第一の選手の人は、頬を染めて笑う。
「はははっ。追いつく追いつく！心ば１つにしてみんなで協力すっとだ！」
熊本の人は、ここまでみんなで１つになってリーダーに従って追いついて来たと言う。
リーダー･･･って･･･。
そう思っていると、熊本の人は視線を右前に移して、あの人がこの集団のリーダーなのだと言った。
そこには、広島呉南のジャージがあって、その人は待宮さんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - 佐藤悠真さん» 嬉しい感想ありがとうございます＾＾何度も評価出来ないことを初めて知りました（汗）応援ありがとうございます♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月25日 1時) (
レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - このお話大好きでいつも閲覧させてもらってます。でもそこに襲いかかってくるのが評価は一度しかできないという冷たい現実…(泣)いつも応援してます！更新頑張ってください！ (2020年4月25日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - みー姉さん» 嬉しい感想ありがとうございます＾＾好きの一言にたくさんの気持ちが篭っているのを感じてとても嬉しくなりました。その一言で十分です！今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月24日 1時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
みー姉 - 好きです。私もローディーで…とか最初から読んでます…とか、初コメですとか、色々言いたい事はあったはずなのですが、頭悪い感想しかなくなりました。好きです。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: fdbf7ce13f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Lienさん» 嬉しいコメントありがとうございます♪何度も読み返してくださっていると聞いて心がポカポカになりました＾＾頑張って続けていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年4月2日 17時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2019年12月17日 2時
