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金城side
新開と御堂筋のスプリントリザルトはコンマ0.02秒差で御堂筋がとった。
鳴子と巻島は合流できたが・・・姫、田所、小野田とはまだ合流出来ないでいる。
巻島に聞けば、姫と小野田は昨日のダメージが相当残っていて出れなかった田所を迎えに残ったらしい。
せめて、せめてどちらかがいてくれたらと思う。
小野田は登りに強く、山ではチームにとっての大事な役割を任せられる意外性のある男だ。
それに対して姫は、チームに無くてはならないルーラー。
姫に関してはすべてのオールステージで俺たち総北チームの要となる存在だ。
この先の給水地点を過ぎれば残り40キロからは登りに入る。
頼む・・・間に合ってくれ・・・。
給水所を過ぎてすぐ、後ろから歓声があがった。
まさか・・・と思い振り返ると、影が2つ。
あれは・・・小野田が田所を引いている。
間に合った・・・と、安心したが、姫の姿が見えなくてヒヤリと嫌な汗が流れた。
今、2日目のこの場面で姫を失うわけにはいかない・・・。
「戻ってきたぜ!チーム総北!!」
「遅くなりましたが全員を連れてチームに合流しました!」
田所と小野田が叫ぶ。
俺は大きく頷いて追いついてきた小野田の肩を抱いて『よくやった!』と褒めた。
だが・・・全員ではない・・・。
「・・・・姫は・・・」
そう言いかけた時、田所の後ろから少し高い呼吸音が聞こえて視線を後ろにやると、田所の後ろで大きく広がった翼が消えていくのが見えた。
浅く高い呼吸を繰り返す姫の姿を捉えて、俺の胸が熱くなったのを感じる。
小野田の肩を二度ほど叩いて労うと、姫の隣に並ぶ。
「ぁ・・・。き、じょ・・・せんぱ・・・」
「姫・・・。よくやった・・・。本当に・・・っ」
苦しそうに呼吸を繰り返す姫の体を抱いて支えてやると、姫の細く小さな体は震えている。
小野田よりも更に小さく華奢な体で、小野田と田所を引いて、全力で俺たちの為にやってくれた。
「は、ひ・・・。私、最善、を・・・。尽くし、ました・・・っ」
「ああ。ああっ。本当に、よく頑張った。・・・ありがとう」
そう言うと、姫は汗だくで顔を赤く上気させて笑った。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^メロメロ・・・なんて素敵なお言葉でしょう(嬉)そしていつも温かいお言葉とても励みになります。今後も頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月24日 19時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんはどうなってしまうのか、次回が気になっちゃいます!荒北さんの誤解がとけて良かったです♪皆さん姫ちゃんにメロメロですね!更新頑張って下さい*^^* (2019年12月24日 12時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Mayuさん» 嬉しいコメントありがとうございます^^大好きと言っていただけてとても励みになります♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月17日 2時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 第9期,お疲れ様でした!瑠璃さんの作品,大好きです!これからも頑張って下さい。応援してます! (2019年12月16日 15時) (レス) id: bf6e64c20c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ふたばさん» ありがとうございます^^ゆっくり構想を練りたいと思います。いつも励みになっております(*^^*) (2019年12月16日 4時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年10月7日 6時