弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第９期】

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「･･･っ。みなさんっ。た、ただいま、戻りましたっ！」




出来る限りの声を張って叫ぶと、みんながバッと音がしそうなほどの勢いで振り返る。

みんなが驚いた顔で私を見て呆然としているのが分かるけど、１番に声を出してくれたのは鳴子くんと小野田くんの２人だった。




「「姫っっ！！」」

「小野田、くんっ。鳴子くんっ。ただいま」




そう言って、なんとか追いついて隣りに並ぶと、小野田くんは涙を流して良かったと喜んでくれる。

金城先輩と田所先輩に視線を向けると、２人とも口元を綻ばせた。




「よく･･･っ。よく戻ってきてくれた！」

「姫。すげぇじゃねぇか！！お疲れさんっ！」

「ありがとう、ございます･･･っ」




私が疲れている様子に心配してくれながらもたくさん褒めてもらえて、少し元気が戻ってきた気がする。

隣りで走っている箱学のみんなも驚きながらも、頑張ったなと声をかけてくれた。




「私１人の力では、きっと、追いつけませんでした･･･」

「一体何があった？」




金城先輩に聞かれた私は、今まであったことを全部話した。


小野田くんと２人、落車に巻き込まれてしまったこと、手嶋先輩たちに的確な指示を貰って小野田くんと走ったこと。

集団の後ろが通れずに小野田くんだけ先に行ってもらったこと。

集団の選手たちが前に通してくれたこと、そして京都伏見が集団をコントロールしている中、石垣さんが私を引いて登ってくれたこと。


箱学のみんながいるから力を使ったことまでは話せなかったけど、後で金城先輩たちにはお話しようと思う。

全部聞いた後、隣りで聞いていた泉田さんがポツリと呟いた。




「姫･･･。君は誰もを味方にする才能があるようだね･･･」

「ふぇ･･･っ？そ、そう、なのですか･･･？」




私はきょとんとしながらも、みんなに追いつけたことに安心して、今までの疲労が一気に体にきたのを感じていた。




「でも、みなさんとまた走れて･･･。嬉しいです･･･。追いつけてよかったです」

「よく頑張ったね。姫さん」




新開さんもニコリと笑って言ってくれて、私も笑顔を返して頷いた。

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