弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第８期】

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わぁ･･･わあぁぁ････、包まれ感が凄い･･･っ。

体の大きな新開さんに抱きしめられると、私はしっかりと新開さんのお腹に顔が埋まってしまう。




「ひぇ･･･。ご、ごめんなさいっ。あのあの、もう立てます･･･っ」

「･･･。駄目だよ。さっきは気を失って、今は倒れそうだったじゃないか。心配したよ･･･」

「ででででも････っ」

「･･･もしかして、俺のこと意識してくれてたりするのかな？」

「ふぇ･･･？」




誰だって抱きしめられれば意識しちゃうと思う。

私、だっこされたりすることはあっても、男の人にこんなに長い時間抱きしめられたことなんてない。


そう思って戸惑っていたら、部室の入り口あたりからゴトンと何かが落ちた音がした。

私は扉に背を向けている形で抱きしめられていたから、何が起こっているのか分からないけど、一瞬新開さんの抱きしめる腕がピクリと動いてた。




「････何、してんだよ」

「･･･いや、別に。姫さんが目を覚まして急に立ち上がったから眩暈を起こしてね。支えていただけさ」

「･･･そうは見えねぇんだけど？」




この声は、荒北さんだ。

だけど、すごく怖い声でふるりと体が震えてしまう。

以前箱根学園の生徒が私に酷いことをした時に聞いたような、低い、唸るような声。


新開さんのお腹に手を置いて離れようとしてみるけれど、腕の力は苦しくない絶妙な強さで固定されてしまっているから離れられない。

嫌ではないけど、抱きしめられている意味が分からなかった。




「あああああ荒北さんっ。お、怒っちゃ駄目です･･･っ」

「はあぁ？てめぇもてめぇだ！少しは嫌がれってぇんだよ！」




何とか落ち着いて貰おうかと思って言った言葉は逆効果だったらしい･･･。


慌てて振り向こうかと思ったけど、さっきのロードのダメージが足がガクガクしてしまって力が入らなかった。

震えているのに気づいた新開さんが、突然お姫様だっこで抱き上げて驚いた。




「ひゃ･･･っ！？」

「今日はここまでみたいだね」




そう言った新開さんは少し残念そうに微笑んでいた。

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