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「え・・・?ここ・・・。え?・・・・えぇ・・・?」
さっきまで、私は捨てられに行く子猫の気分でにぃさまの車に乗っていた。
だけど、今は到着した場所に困惑を隠せないでいた。
だってここは・・・、目の前にあるのは・・・、GWに来た東堂さんのご実家である温泉旅館だったのだから・・・。
ギギギ・・・と、音がしそうなほどゆっくりと隣りで平然としているにぃさまを見上げる。
サイクルスポーツセンターからたった20キロ、車で30分かからないくらいしか走っていないはずの場所なのに、ここに着いてしまった。
にぃさまが言うには、以前箱根学園で危ない目に合ってしまった事で、あのスーパーお怒りモードだった監督さんからピエール監督に何か私へお詫びが出来ないかと合宿前に連絡があったらしい。
最初は断っていたそうなのだけど、引かない監督さんに、私にとっても総北のメンバーと離れて精神面を鍛えるにはいいかもしれないと思ったそう。
だけど、インターハイのライバル校だから無理には頼めないと伝えたら、箱学はそれくらいで揺らぐチームではないと笑い飛ばして快諾したという。
武者修行・・・?
そんな言葉が頭の隅を過ぎったけれど、金城先輩にとっては私のことを誰かに任せるくらいなら、傷つけないだろうと確信出来る箱学の監督さんに任せてみようと思ったらしい。
いいのかな・・・それ?
とんでもない展開に頭がついてきていない私、旅館の中からママさんが出てきて嬉しそうに駆け寄ってきてくれて抱きしめられた。
「よく来てくれたわねっ。もう当分会えないと思っていたから嬉しいわぁ♪あなたのお部屋もちゃんと用意しておいたから、ゆっくり寛いでいってね!」
「あわ・・・。ママさん。あ、ありがとう、ございます」
お世話になりますと頭を下げると、ママさんは私の荷物を持ってくれる。
そしてにぃさまに向かってにこりと微笑んだ。
「もう出発するのかしら?」
「ええ。あちらの監督を待たせていますから。姫、ロードジャージとシューズ、必要なものだけ持って行くぞ」
「えっ。は、はいっ」
私は慌ててママさんに他の荷物をお任せして制服のままにぃさまの車に乗り込んだ。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 素敵な感想をありがとうございます^^状態異常という表現に嬉しすぎて笑っちゃいました(笑)神・・・なんて素敵なお言葉いただけるなんて光栄です><今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年10月29日 3時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 荒北さん(箱学メンバー)との合宿、最高すぎて“悶える”という状態異常にかかりっぱなしでした^^この作品神がっかてます! (2019年10月28日 22時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ソラさん» いつも感想ありがとうございます^^たくさんコメント頂けて嬉しい限りです♪何度も読み返してくださって感激です!推しが決まらない内はブレブレでいろんな方に愛していただきますね★今後ともよろしくお願いいたします('-'*) (2019年8月4日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 何度もコメすみません(^^;) 荒北さんのお姫様抱っこに触発されてまた1話から全部読んできちゃいました(≧∇≦)何度めかな笑。読むページによって推しが変わりますが姫ちゃん可愛い過ぎますね。箱学の押せ押せ楽しみにしていますね(^ ^) (2019年8月3日 18時) (レス) id: c7e90ea51e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 的場琳さん» 嬉しい感想ありがとうございます('-'*)総北陣の大人しさが際立つ箱学の押せ押せを執筆できればと思います。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします^^ (2019年7月30日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年5月31日 2時