弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第１２期】

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石垣さんだ･･･。

私をあの日、護ってくれた男子高校生は、石垣さんだったんだ･･･。




「ありがと･･･ございます････。ありがとう、ございます････っ。ひっく･･･っ」

「クリス･･･さん･･･？」

「あり･･･がと、ございます･･･っ。バスで、助けて、くださって、ありがとう、ござい、ます･･･っ」

「････っ。覚えて･･･くれとったんか･･･？」




抱き締めてくれている石垣さんのお腹に顔を埋めて何度も頷いていると、擽ったそうに石垣さんがフッと笑った気配がする。

優しく何度も背中を撫でてくれるその手は、どこまでも優しい。

そして小さく、嬉しそうな声が降ってくる。




「そうか･･･。俺は、間違うてなかったんやな･･･。あのな。今やから言うけど･･･な」

「･･･？」

「ずっと、心配やった。また泣いてへんかなって、あの小さい女の子は、どうしてるんかなって」

「石垣さん･･･？」




ゆるゆると石垣さんを見上げると、優しく目を細めて微笑んだ石垣さんが真っ直ぐに私を見下ろしていた。

少しだけ潤んだその目はどこまでも優しくて、嬉しそう。




「インハイのスタート前に会うた時、すぐにあの時の女の子やて気づいた。･･･嬉しかったんや。もう泣いてへん。笑うてるて。････ほんまに、嬉しかったんや」




石垣さんは私のこと、ずっと心配してくれていたんだ･･･。




「俺のこと、忘れてても、それでええと思うてた。たった一度目が合うただけや。それも当たり前やって。だから、言うつもりもなかった」

「え･･･？」

「ありがとうな。笑うてくれててありがとう」




泣き笑いのように、潤んだ瞳を隠すように笑顔を向けてくれた石垣さんは、私の頭を優しく撫でてくれた。

心のモヤモヤが晴れたような気持ちで、私も精一杯の笑顔で石垣さんを見上げる。

周りの人たちが私たちを見ている視線に気づいた石垣さんは、『わ、悪いっ！！』と慌てて私から離れた。

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