第1夜ー死ー ページ5
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『すごい……賑やかだね!』
「そうだな……」
「ここの村はこの祭りの時だけはすごく賑やかになるらしいんですー。うちも初めてですけど、こんなに人がおったんですねぇ。」
夜、私達は葸河村のお祭りに来ていた。
広場には神社にかけてたくさんの屋台が出ている。
「黒子っち!!行くっすよー!!緑間っちも!!!」
みんながバラバラになってしまった。
残されたのは赤司くんと私。新崎さんは旦那さんのところに行ったらしい。
「……さて、どこか行きたいところはある?」
浴衣姿の赤司君が言う。
『あっ……うん……えっと……』
一緒にいられるだけで嬉しいんだけど……
そう思いながら、周りを見渡す。
すると、私の大好きなりんごあめの屋台があった。
『……りんごあめ、たべたい。』
私がそう言うと、赤司君は私の手を引いてくれる。
……
来れて、よかった。
にやけていると、目の前にりんごあめが差し出される。
「ほら。」
赤司君がりんごあめを買ってくれたらしい。
『あ……りがと。』
私はりんごあめを受け取る。
そして、2人で歩きながら屋台を見ていた時……
少し先の石畳の地面に、赤い線が引かれているのに気づいた。
『……赤司君、あれ、なんだと思う?』
「ん……?」
『ほら、あの赤い線。』
私が指さしても、赤司君には見えていないようで、見間違いかな、と思い、なんでもない、と笑う。
そして、しばらくしてその赤い線が近づいてきた。
……赤い線を、踏む。
『……!!!!』
その瞬間、背筋に嫌な感触が走る。
「……どうした、A?顔色が悪いよ。休む?」
震えが止まらない。私はこくこくと頷く。
すると、赤司君は私をお姫様抱っこしてくれて、神社のベンチまで運んでくれた。
どんどん、嫌な気分になっていく。
ベンチで一人、頭を抱える。
「A。これ飲んで。」
赤司君が水を持ってきてくれる。
1口飲むと、少しだけ楽になった。
ありがとう、と言おうとしたその時。
神社の本殿の奥の
さっきまでいなかったはずの"ダレカ"と
目が合った。
手が自然にがたがたと震える。
『あ……あか……赤司君……』
私は目の前の赤司君に
『お願い……!今すぐここから逃げよう!!早く!!』
そう、叫んでいた。
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KAME(プロフ) - ききき、黄瀬・・・?ゾクッとする怖さが素敵な小説ですね・・・!これからも応援してます! (2019年4月2日 1時) (レス) id: fdbbe5c8da (このIDを非表示/違反報告)
ららら - めっちゃ怖いです…けど、面白いです!応援してます! (2019年4月1日 22時) (レス) id: f00fc4fb29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろた | 作成日時:2019年2月12日 21時