こんな奴のどこがいいのか。【まふまふ】

慰め ページ23

真冬side

Aは動かずに下を向いている


｢A？大丈夫？｣

普段は絶対そんなこと言わないが今日は話が違う

Aのことだから怖かったって泣きついてくるような
お決まりな展開にはならないと思う

むしろ僕にどんなふうに接すればいいか迷っているような


『うん、ありがとう』

そう素っ気なく言ってきた

普段Aも同じように言わないような言葉だ
素っ気なく言っているのが悪いと思っているのか
僕と目を合わせようとしない

ただ僕の腕の中にいることには抵抗しなかった

まああの男たちと違ってそこまで極端に拒絶されていないのは
安心した

「ほら、行くよ」

だらだらとここに居座るつもりもないので
無理やりAの腕を引っ張って歩き出す


『は？』

気持ちの整理がつきいつの調子に戻ってきたのか
口調が戻ってきた


「いや、だって」

足を止めてAの頭の上に手を置く



「クレープ食べに行くんでしょ」


そう言ってまた手を取って歩く



『私より食べたがってるじゃん』


後ろから聞こえた笑い声に混じったその言葉は聞こえないふりをした

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