【鬼滅の刃】氷の刃【参】 (ページ23)

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刀鍛冶の里ページ23

刀鍛冶の里は、鬼に襲撃されるのを防ぐために隠蔽されている。

具体的には、刀鍛冶の里へ赴く際に隊士は隠に背負われて目隠しと耳栓を付けさせられる。
その隠すらも一定の距離で違う人物に交代し、リレーのように里まで向かうのだ。

鬼に対抗する貴重な武器である日輪刀を扱う職人が集う里。
それが刀鍛冶の里だ。

その刀鍛冶の里を見て、竈門炭治郎は目を輝かせていた。

「凄い建物ですね！！しかもこの匂い、近くに温泉があるようだ」
「ありますよ」

刀鍛冶の里は、木造の建物が軒を連ねる落ち着いた雰囲気の里だった。
里の風景を無邪気に見つめる炭治郎を見て、隠は思わず笑みをこぼした。

「あちらを左へ曲がった先が長の家です。一番に挨拶を。」
「はい！」
「私はこれで失礼します。」
隠が手短に刀鍛冶の里についての説明を終え頭を下げる。

「ありがとうございました！！」

同じく頭を下げた炭治郎の声は、少し先の温泉にまで届いていた。

「ん？感謝のやまびこが聞こえた。」
「この声は炭治郎ですね。意識戻ったみたいで良かったです。」
「あぁ！あの鬼の妹さんを連れたかわいい男の子ね！」
なんだかドキドキしちゃう、と微笑む自分より少し年上の女性に、もう一人の少女は苦笑する。

「厄介事じゃないといいですけどね。炭治郎、何かと巻き込まれ体質ですから。」

一方、刀鍛冶の里の長の家。

「どうもコンニチハ。ワシ、この里の長の鉄地河原鉄珍。よろぴく。」
里の長とは思えないほどの気軽さで、小柄な老人は炭治郎に話しかけた。
「里で一番小さくって一番偉いのワシ。まぁ畳におでこつくくらいに頭下げたってや。」
「竈門炭治郎です！よろしくお願いします！」
鉄珍の言葉に、文字通り畳に頭をゴン、とぶつける炭治郎に、鉄珍は「ええ子やな、おいで、かりんとうをあげよう」と声を弾ませた。

「蛍なんやけど、今行方不明になっててな。ワシらも探してるから堪忍してな。」
炭治郎の刀を打った刀鍛冶が、現在里にいないという事を鉄珍は告げた。
すぐ癇癪を起こす彼に鉄珍も困ったようにため息をつく。
そんな彼の姿を見て、炭治郎は申し訳なさそうに口を開いた。

「いえいえそんな、俺が刀を折ったりすぐ刃毀れさせたりするからで」
「いや、違う。」
そう言った鉄珍の声は、面で表情が見えないが確かに怒気を孕んでいた。

「折れるような鈍を作ったあの子が悪いのや。」

ピリピリとした威圧感。
炭治郎は、目の前の老人から目を離すことが出来なかった。