炭治郎と柱 ページ24
「あーーーっ!炭治郎君だ!炭治郎くーん!」
「蜜璃さん、前!前閉めて下さい!」
そんな声が、温泉に向かう炭治郎の耳に届いていた。
手を振りながらこちらへ走ってくるのは恋柱の甘露寺蜜璃。
その後を追いかけるのが同期の水守Aだ。
「あっ!気をつけて下さい!乳房が零れ出そうです!!」
たゆんたゆんと揺れる甘露寺の胸を見て思わず炭治郎は危ない!と声に出す。
(とんでもねぇ炭治郎だ…)
やましい気持ちが全くない、純粋な言葉だとわかっているものの、思わずAは炭治郎に冷たい視線を送ってしまう。
しかし、当の甘露寺は気にした様子もなく炭治郎に涙目で話しかけていた。
「聞いてよ聞いてよ!私今そこで無視されたの!挨拶したのに無視されたのー!」
「誰にですか?」
「わかんないの〜!だから名前聞いたのに無視なの!酷いと思わない?私柱なのに!」
えーん、と泣き声を上げながら炭治郎に縋り付く。
「最終選別の時に一緒だった子がいてね。ちょっと…事件が……」
若干疲れた表情で話し始めるAに、炭治郎は「事件?」と首を傾げた。
時は少し遡る。
温泉を満喫した甘露寺とAは宿へと足を運んでいた。
そこで出会ったのが、炭治郎とAの同期である一人の少年だった。
「初めましてこんにちは!甘露寺蜜璃です〜大きいねぇ、何の呼吸使うの?」
甘露寺が笑顔で話しかける。その瞬間。
Aの耳は、少年から聞こえる物凄い動悸の音を聞き取っていた。
顔を見れば、真っ赤になって汗をだらだら流している。
傍から見れば緊張で頭が真っ白になっていることが丸わかりなのだが、甘露寺の質問攻めは続いていた。
助けを求めるように視線が泳いだ少年が、Aの姿を捉える。
「そう!!しかもあの子、Aちゃんを見るなり『お前を柱とは認めねぇ!!』って物凄い形相で逃げていったのよ!!」
ぷんぷん、と頬を膨らませながら甘露寺は怒りをあらわにする。
「まぁ、私柱の中でも最下層ですし、貫禄も無いからしょうがないですよ…」
「しょうがなくないもん!!Aちゃんはすごいんだからね!!」
苦笑して甘露寺を宥めるAに甘露寺はそんなことない!とAを擁護する。
姉妹のようだなぁと微笑ましく眺めていた炭治郎は、今の会話で重要なことに気が付いた。
「……Aが、柱?」
「そうよ!Aちゃんは氷柱になったのよ!」
えっへん、と大きな胸を突き出して、甘露寺は得意気にAが柱になったことを告げた。
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月22日 12時