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透明 ページ48

「氷はね。純度が高いと透明になるんだよ。」

いつだったか、おじいちゃんが修行中に口にした言葉だ。

私の刀は水の呼吸を使うと水を纏うし、氷の呼吸を使えば氷を纏う。

おじいちゃんの日輪刀は刃を振るう直前、必ず綺麗な高い音を鳴らしていた。

彼の日輪刀が水や氷を纏ったことは一度も無い。

一瞬見えたように思えた霜や氷が、その音がした瞬間、「なくなった」のだ。

何も見えない剥き出しの刀身で触れた瞬間、鬼の頸はパキパキと音を立てて凍っていくのだ。

「水の呼吸以外にも、色々な呼吸があるんだよ。Aが使うことがなければいいのだけど。」

おじいちゃんは優しい微笑みを浮かべながら、そう言っていた。

随分、昔のことを思い出したものだ。

「その技、教えてもらってないよ。おじいちゃん」


ぎゅる、と風が歪む音がした。今夜何度も聞いた、血鎌の音だ。

すっかりぼやけてしまった目を凝らす。

市松模様の羽織が見えた気がした。そしてもう一つ、人影がある。

あぁよかった、生きていた。

Aのぼやけた視界は毒の鎌を防ぐ宇髄の姿を映していた。

「譜面が完成した!勝ちに行くぞ!」

譜面と言うのは、宇髄さん独自の計算式だ。相手の動きの癖や死角もわかると聞いたことがある。

あの時の声はやっぱり宇髄さんだったんだ、とほっと息をつく。

「譜面を作る。できるだけ技を出させろ。」

あの言葉で宇髄さんが生きていると私は信じた。

だからこそ、宇髄さんを優先順位の初めに持ってきたのだ。一番可能性があるのは、宇髄さんだと判断した結果だ。

宇髄さんは片手のみで妓夫太郎の攻撃を凌いでいる。

指が折れて、左手の握力がない炭治郎が鬼の頸を斬るのは難しい。

私が、どうしても動かなければいけない。

そうじゃないと、みんな死んでしまう。

そんなことを私の頭は冷静に告げていた。


全滅する。このままでは。妓夫太郎を倒せ、頸を斬れ。


それでも、毒が回った体は思うように動いてくれない。

呼吸を整えると、ごふ、と口から水っぽい音がして血が出てきた。

目の前が霞む。

どうしても、どうしてもやらなければやらない。

おじいちゃん、小雪、お願い、力を貸してください。


炭治郎の刀は、もう一度妓夫太郎の頸にあてがわれていた。

刀に力を込める。全身の力を刀に注ぎ込む。

その瞬間。炭治郎の額に痣が浮かび上がった。


それと同時に、ドクン、とAの心臓が強く脈打った。

まるで、炭治郎の痣と呼応するかのように。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時

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