届かない声 ページ31
兄ちゃん助けて。
姉ちゃんが姉ちゃんじゃなくなる。
弟の声で目を覚ました炭治郎は、禰豆子の姿を見つける。
角が生え、鬼のような姿になった禰豆子は、人を喰おうとしていた。
鞘に納めた刀を禰豆子の口にあてがう。
「禰豆子！だめだ、耐えろ！！」
禰津子は苦しそうな声を上げている。
暴れる禰豆子を、横たわりながら手足で拘束する。
「ごめんな、戦わせてごめん」
そこら中から、禰豆子の血の匂いがした。
どれほど傷つけられたのかが、痛いほど良く分かった。
きっと今は、重度の飢餓状態に陥っているだろう。
「痛かったろう。苦しいよな。ごめんな。でも大丈夫だ。兄ちゃんが誰も傷つけさせないから。
眠るんだ禰豆子、眠って回復するんだ。」
禰豆子は立ち上がり、苦しみを振り払うかのように真上に跳躍した。
ミシ、と言う音がして、炭治郎の体が天井を突き破る。
その時、襖を突き破ってくる帯が見えた。
バキ、という音がして襖が粉々に砕ける。
「よくもまあやってくれたわね。そう。血鬼術も使えるの。鬼だけ燃やす奇妙な血鬼術。」
堕姫が立っていた。
「しかもこれなかなか治らないわ、物凄く癪に障る。物凄くね。」
人がいる。
周りには、人がいた。
先刻の惨劇を思い出す。
建物ごと切断される。どうする。守らないと。
どう動くか考える。まずは周囲の人を、
「おいこれ竈門禰豆子じゃねぇか、派手に鬼化が進んでやがる。」
目の前に、宇髄さんがいた。
思わずぎょっとした声が自分から洩れる。全く気付かなかった。
「お館様の前で大見栄切ってたくせになんだこのていたらくは」
宇髄は呆れたように話しかけてくる。後ろにいる堕姫には目もくれずに。
「柱ね。そっちから来たの。手間が省けた…」
堕姫が話すが、やはり宇髄は見向きもしないまま、「うるせぇな、お前と話してねぇよ失せろ」と興味なさげに言った。
「お前上弦の鬼じゃねぇだろ。弱すぎなんだよ。俺が探ってたのはお前じゃない」
そう言うと同時。
堕姫の首が、ズッと音を立てて頸から零れ落ちた。
「おい、戦いはまだ終わってねぇぞ。妹をどうにかしろ。ぐずり出すような馬鹿ガキは戦いの場にいらねぇ。地味に子守唄でも歌ってやれ。」
禰豆子が二度目の跳躍をする。
炭治郎と禰豆子の体は、外に放り出されていた。
それを見届けた宇随は外へ行こうとするが、それを引き留める声があった。
堕姫だ。
堕姫は、頸が落ちたまま言葉を話し続けていた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
