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蕨姫 ページ24

京極屋の主人は、何者かにくないを突き付けられていた。

「善子と雛鶴はどうした。簡潔に答えろ。問い返すことは許さない。」静かな声だ。

「…善子は消えた。雛鶴は病気になって切見世へ…」

主人は震える声を必死に絞り出した。

「心当たりのあることをすべて話せ。怪しいのは誰だ。」

主人の顔に、恐怖の色が浮かんだ。瞳孔は開き、呼吸は浅い。

「信用して言え。そいつは必ず俺が殺す。仇を討ってやる。」

「蕨姫と言う花魁だ。日の当たらない北側の部屋にいる。」

それを聞き出すと、宇髄は静かにその場を後にして蕨姫の元へ向かった。





一方、炭治郎は鬼の匂いを辿ってととき屋に辿り着いていた。

匂いの元は、花街で「蕨姫」と呼ばれていた花魁から放たれていた。

蕨姫は鬼の姿となり、瞳には「上弦」「陸」の字がそれぞれ刻まれている。

上弦の鬼だ。

しゅるしゅると音を立てて、帯が鯉夏花魁に巻き付いている。

帯が巻き付いた部分から、鯉夏の体はみるみるうちに無くなっていた。

「鬼狩りの子、来たのね。何人いるの?一人は黄色い頭の醜いガキでしょう。
柱は来ている?あんたは柱じゃないわね。弱そうだものね。
柱じゃない子はいらないのよ。わかる?私は汚い年寄りと不細工を食べないし。」

「その人を放せ!」

炭治郎の言葉に蕨姫はピクリと眉を動かす。

「誰に向かって口をきいてんだお前は」

物凄い剣幕で睨みつけられた。

その瞬間、炭治郎の体が一直線に吹き飛ばされる。

気が付くと、道を挟んだ隣の家屋の屋根に体が打ち付けられていた。

何が起こった?

見えなかった。手足に力が入らない。

加えて上弦の鬼との戦闘。

4か月前、煉獄を葬った鬼と同列の強さを誇る鬼が、目の前にいる。

炭治郎は混乱状態にあった。


落ち着け、と自分に言い聞かせ、呼吸を整える。

(体は反応できてる。そうじゃなかったら今生きていない。手足に力が入らないのは俺が怯えているからだ。体が痺れているのは背中を強打したから当たり前。)

一つ一つ、自分の中に生じた混乱の原因を排除していく。

(あの鬼の武器は「帯」だ。異能がある。人間を帯の中に取り込める。
建物の中を探しても人が通れるような抜け道がなかったわけだ。)

恐らく、帯の中に今までさらわれた人が囚われているのだろう。

向こう側の窓から上弦の陸が顔を出す。

「生きてるの。ふぅん。目はいいね、綺麗。目玉だけ穿り出して食べてあげる。」

上弦の陸は、そう言って妖艶に微笑んだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時

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