正しさと後悔 ページ14
「胡蝶頼む、一緒に来てくれ」
「言われずともそのつもりです」
胡蝶は目を丸くした後、当然のことのように返事を返してくれた。
胡蝶の言葉に安堵し、腕の拘束を解く。
走りながらも、先程の報告による焦燥感で胸が苦しかった。
姉が死んだ。
俺を庇って、祝言を挙げる前日に鬼に食われて死んだ。
親友が死んだ。
選別試験で怪我をした俺を置いて、鬼に食われて死んだ。
俺は生き残った。
俺は、俺の大切な人を踏み台にして今ここにいる。
報いらねば、と思った。
彼女と彼を食った鬼を一体でも減らす。それだけが生きていく理由だった。
剣の稽古を積み、来る日も来る日も鬼を狩った。
最初の頃は毎日傷だらけだった。
しかし人間は、段々と慣れていくものだ。
痛みにも、鬼殺にも、何の感情も抱かなくなっていく。
気が付くと、柱という階級になっていた。
自分よりも遥かに剣の才能に溢れていた親友のことを思うと、輝かしい称号も虚しいだけだった。
妹弟を鬼にされ、それを日輪刀で葬った少女がいた。
それがAだった。
俺は、後悔ばかりしてきた。
あの時、姉さんを守るくらいの力があったら。
あの時、自分が怪我をしなかったら。
二人とも、生きていたんじゃないかと、そう思いながら生きてきた。
炭治郎を見逃したのが自分だと話した。
彼女には、正直に伝えねばと思った。
「私は、本当に嫌だったけれど、妹の望みは叶えてあげたくて、私は私の意志で妹を斬って、生きることにしました。」
その言葉を聞いた時、この少女は、きっと何も間違えない者なんだろう、と思った。
俺とは違い、正確な判断を下し、思いを汲み取り、大切な人の死を力にできる者だ。
間違えてばかりの俺ではなく、正しい彼女が柱になるべきだ。
例え伍の型しか使えずとも、彼女はきっと柱に上り詰めるだろう。
そんなとき、彼女の重傷の知らせが届いた。
頭が真っ白になった。
待ってくれ。お前はまだここで死ぬべきではないだろう。
ひたすら走っていると、黒い影が見えた。
Aの烏だった。
「A、妹の敵をとったら、死ぬつもりだったんだ！頼む、義勇に会いたがっているんだ」
ふざけるな、と思う。
妹は生きろと言ったんだったろう。
自己満足で勝手に死ぬな。
お前まで俺を置いていくのか。
彼女が死の淵に立ってやっと、
彼女は強くもなんともない、俺と同じ、後悔して、泣いて、苦しんでいる
ただ一人の弱い少女だったのだと理解した。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
